ガイバ (イスラム教)

ガイバ（Ghaybah）とは

イスラム教シーア派の多くの分派において、彼らが認める最後のイマームが死ぬことなく隠れており、いつか再臨すると信じられている状態を指します。アラビア語では「不在」や「隠れていること」を意味し、「隠れ」や「幽隠」と訳されることもあります。

ガイバの起源と展開

ガイバ、または隠れイマームの概念は、カイサーン派によって初めて提唱され、その後他のシーア派の分派にも取り入れられました。この思想は、イマームの不在という状態を宗教的に解釈し、信者たちに希望を与える役割を果たしました。

分派によるガイバの解釈

ガイバ状態にあるイマームが誰であるかは、分派によって異なります。

ザイド派（5イマーム派）: 現在イエメンに勢力を持つザイド派は、ガイバ思想を否定しています。
イスマーイール派（7イマーム派）: 本来、彼らにとっての第7代イマームであるムハンマド・イブン・イスマーイールがガイバ状態にあるとされていましたが、その後さらに多くの分派に分かれました。
十二イマーム派: 現在のシーア派の主流である十二イマーム派では、第12代イマームのムハンマド・ムンタザルがガイバ状態にあると信じられています。彼らは、ムハンマド・ムンタザルがいつか再臨し、世界を正義で満たすと信じています。

他の宗教への影響

イスラム教に起源を持つバーブ教は、自らが隠れイマーム（ムハンマド・ムンタザル）の再臨であると宣言したセイイェド・アリー・モハンマドによって開かれました。これは、ガイバ思想が他の宗教にも影響を与えた一例と言えるでしょう。

ガイバは、シーア派の信仰において重要な位置を占める概念であり、各分派の教義や歴史を理解する上で欠かせない要素です。イマームの不在と再臨への希望は、信者たちの精神的な支えとなり、共同体を維持する力となっています。

関連項目：
ムハンマド・ムンタザル#ガイバ

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