ガイヤース

ガイヤース：伝説のサラブレッド

ガイヤースは、2015年アイルランド生まれのサラブレッド競走馬です。アラビア語で「多大なる救援を与える者」を意味するその名にふさわしく、数々の偉業を達成しました。ゴドルフィンによって高額で落札され、チャーリー・アップルビー厩舎の期待を一身に背負い、競走馬としてのキャリアをスタートさせます。

デビュー当初は、初戦こそ3着に敗れましたが、その後は圧倒的な強さを見せつけます。2戦目では5馬身差の圧勝で初勝利、続くオータムステークスでも勝利し、重賞初制覇を成し遂げます。2歳時には、ゴドルフィンの悲願である英ダービー制覇への期待も高まりましたが、故障によりクラシックシーズンを棒に振るという苦難を経験します。

3歳時、故障からの復帰戦となったプランスドランジュ賞では、ブランクを感じさせない走りで重賞2勝目を挙げました。しかしその後は再び故障に見舞われ、この1戦のみでシーズンを終えます。

4歳になると、アルクール賞を制し、G1競走初挑戦となるガネー賞では、強豪ヴァルトガイストに敗れ3着となります。しかし、続くバーデン大賞では、2着に14馬身差をつける圧勝でG1初制覇を飾ります。この衝撃的な勝利に、騎乗したウィリアム・ビュイック騎手は「彼はモンスターだ。真のモンスターだよ」と絶賛しました。続く凱旋門賞では、積極的な逃げ策に出ましたが10着に敗れ、その後は休養に入ります。この年のワールド・ベスト・レースホースランキングでは5位にランクインしました。

5歳シーズン、ドバイミレニアムステークスで復帰戦を勝利で飾ると、その後イギリスに戻り、コロネーションカップ、エクリプスステークス、インターナショナルステークスとG1競走3連勝を達成します。インターナショナルステークスでのレーティングは130に達し、この活躍が評価され、2020年のワールド・ベスト・レースホースランキングで堂々の1位を獲得、さらにカルティエ賞年度代表馬にも選出されました。G1競走4連勝を目指したアイリッシュチャンピオンステークスでは2着に敗れましたが、その競走生活に幕を閉じます。凱旋門賞への挑戦や、チャンピオンステークス、ブリーダーズカップ・ターフへの参戦も検討されましたが、2020年10月19日、現役引退が発表されました。

引退後はアイルランドのキルダンガンスタッドで種牡馬入りし、その後オーストラリアでもシャトル種牡馬として繋養されることになります。その血統には、母方の血統に愛1000ギニー勝ち馬であるナイタイム、半姉にはマンノウォーステークスの勝ち馬であるジューコワを持つなど、優れた競走馬としての能力に加え、優れた繁殖能力も期待されました。

ガイヤースは、その圧倒的なスピードと強靭な精神力、そして美しいフォームで多くの競馬ファンの心を掴みました。短い競走生活でしたが、その輝かしい戦績は、競馬史に長く記憶されることでしょう。彼の血統が、将来の競馬界をさらに盛り上げてくれることに期待が高まります。

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