ガメラ 大怪獣空中決戦

ガメラ 大怪獣空中決戦

1995年3月11日に公開された『ガメラ 大怪獣空中決戦』は、大映（現KADOKAWA）製作の平成ガメラシリーズ第1作であり、ガメラ誕生30周年を記念した作品です。昭和ガメラシリーズとは異なり、よりリアリティを追求した作風で、大人も楽しめる怪獣映画として高く評価されています。

概要

本作は、昭和ガメラシリーズ第3作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』とタイトルが似ていますが、内容は全く異なります。昭和シリーズが子供向けの演出が多かったのに対し、本作は現実世界の問題や古代の歴史、伝説、生物学的な要素を取り入れ、リアリティを徹底的に追求。子供との関わりを控えめにしつつも、ガメラの復活や力が増す重要な部分で子供たちが関わる点が特徴です。これらの設定は、後のシリーズ作品にも継承されています。

物語は1995年の日本を舞台に、五島列島や姫神島で孵化したギャオスと、環礁のような姿から目覚めたガメラ、そしてそれらを発見した人々や自衛隊との戦いを描いています。続編である『ガメラ2 レギオン襲来』や『ガメラ3 邪神覚醒』とは時系列的に繋がっており、本作での出来事が後の作品に大きく影響を与えています。

興行収入は目標に届かなかったものの、ビデオ化権や放映権で黒字を確保。作品自体の評価は非常に高く、怪獣映画として初めてキネマ旬報ベストテンに選ばれました。

あらすじ

海上保安庁の一等航海士・米森良成は、プルトニウム輸送船「海竜丸」の護衛中に謎の座礁事故に遭遇します。原因は巨大な漂流環礁で、環礁は海竜丸から離れていきます。同時期、福岡市動植物園の鳥類学者・長峰真弓は、五島列島・姫神島で島民が消息を絶つ事件の調査を依頼されます。島には巨大なヒナが発見され、研究者たちが調査に訪れていました。

姫神島を訪れた長峰と刑事・大迫は、惨劇の跡を目撃。ペリットから、巨大な怪鳥ギャオスが原因だと突き止めます。政府はギャオスを貴重な生物として捕獲しようとしますが、長峰はリスクが大きいと反対。しかし、捕獲作戦は決行され、福岡ドームでギャオスを捕獲しようと試みます。しかし、ギャオスは逃げ出し、博多湾には環礁、すなわち巨大生物ガメラが現れます。ガメラはギャオスを倒し、ドームに向かいますが、ギャオスは鉄格子を破壊して脱出。ガメラも円盤状に変形してギャオスを追います。

古代の石版から、政府は巨大生物をガメラ、怪鳥をギャオスと名付けます。ギャオスよりも大きなガメラを危険視し、排除を決定。しかし、ガメラはギャオスから子供を守ろうとした長峰と米森を助け、敵ではないことが判明します。ギャオスの遺伝子解析の結果、ギャオスは人為的に作られた生物であり、単為生殖が可能であることが判明。放置すれば爆発的に繁殖するという恐ろしい事実が明らかになります。

ギャオスは富士山の麓で成体に変貌し、東京に出現。人間を捕食する大惨事を引き起こします。政府はギャオス捕獲を中止し、自衛隊が攻撃を開始しますが、光を克服したギャオスは東京タワーに営巣。東京都民の避難が始まり、経済的・社会的混乱が広がります。

東京タワーに営巣するギャオスの監視を続けていた自衛隊は総攻撃を計画しますが、ギャオスの産卵直後にガメラが地中から出現。ギャオスを追撃し、激しい空中戦を繰り広げます。市街地に墜落しながらも戦いを続け、最後は宇宙空間でギャオスを倒します。ガメラは扇島の石油コンビナートに墜落しますが、浅黄の祈りによって復活。渾身の火球でギャオスを倒し、海へと去っていきます。長峰は、世界中にギャオスの卵がある可能性を示唆し、浅黄はガメラの再来を確信するのです。

登場怪獣

ガメラ
昭和版ガメラの設定を踏襲しつつ、より生物的なフォルムに。火炎放射から火球に変更され、肘からエルボークローを出すことが可能です。
ギャオス
こちらも昭和版ギャオスの設定を踏襲しつつ、生物的な容姿に。古代に創られた生物兵器として自己進化能力を持ち、単為繁殖が可能です。

登場人物

米森良成（演：伊原剛志）
海上保安庁巡視船「のじま」の一等航海士。ガメラ復活のきっかけを作った人物。
長峰真弓（演：中山忍）
福岡市動植物園の鳥類学者。ギャオスを発見し、調査を進めます。
草薙浅黄（演：藤谷文子）
ガメラと心を通わす女子高生。シリーズを通して重要な役割を担います。
草薙直哉（演：小野寺昭）
浅黄の父親。八洲損害保険社員。
大迫力（演：螢雪次朗）
長崎県警察の刑事。長峰と共にギャオスに遭遇します。
斎藤雅昭（演：本田博太郎）
環境庁審議官。当初はギャオス保護を訴えましたが、後にガメラの力を頼るようになります。
佐竹（演：長谷川初範）
自衛隊一等陸佐。当初はガメラを脅威と考えていましたが、ギャオスの成長を見て考えを改めます。

スタッフ

監督：金子修介
脚本：伊藤和典
特技監督：樋口真嗣
音楽：大谷幸

受賞歴

第27回星雲賞 映画演劇部門・メディア部門賞
第17回ヨコハマ映画祭 監督賞、助演女優賞、脚本賞、技術賞
第38回ブルーリボン賞 監督賞、助演女優賞
第19回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞
おおさか映画祭 新人賞

また、キネマ旬報ベスト・テンで6位にランクインするなど、作品としての評価も非常に高いです。

『ガメラ 大怪獣空中決戦』は、従来の怪獣映画の枠を超え、リアリティとエンターテイメント性を両立させた作品として、多くのファンを魅了し続けています。

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