ガラパゴスペンギン

ガラパゴスペンギン

ガラパゴスペンギン（学名: Spheniscus mendiculus）は、ペンギン目ペンギン科ケープペンギン属に分類される鳥類です。ペンギンの中でも最も低緯度に生息し、赤道直下のガラパゴス諸島固有種として知られています。

分布

ガラパゴスペンギンは、エクアドル領のガラパゴス諸島にのみ生息しています。特にフェルナンディナ島とイサベラ島（西部および北東部）で繁殖が確認されており、イサベラ島北部の一部は赤道より北に位置するため、生息域がわずかに北半球にはみ出しているのが特徴です。その他、バルトロメ島やフロレアナ島でも繁殖が確認されており、非繁殖期も繁殖地の周辺で過ごします。サンチャゴ島、ソンブレロ・チノ島、ラビダ島、サンタ・クルス島（北部）、バルトラ島、セイモア・ノルテ島（セイモア島）でも観察されることがあります。

形態

ガラパゴスペンギンの全長は53センチメートル（48-53センチメートル）、体重は1.7-2.6キログラムです。フンボルトペンギン属の4種の中では最小種であり、種小名の「mendiculus」は「物乞いのような」という意味で、ペンギンの中でも小型であることを示しています。オスはメスよりもやや大型です。

全身は短い羽毛に覆われ、頭部や体上面は黒色、眼から喉にかけて白い筋模様があります。下面は白色で、胸部には黒い斑点と不明瞭な横縞があります。オスはメスよりも体色が明瞭です。上嘴と嘴の先端は黒く、下嘴は黄色みを帯びた淡色で、基部周辺は黒いです。肢は黒く、虹彩は褐色をしています。

眼の周辺や嘴の基部には羽毛がなく、繁殖期には黒い斑点のあるピンク色の皮膚が露出します。この露出した部分や腹部の斑紋は個体によって異なり、オスは喉の白色部分や嘴基部の皮膚の露出部分がメスよりも広いです。若鳥は上面が灰色で、頭部や胸部の斑紋はありません。

生態

ガラパゴスペンギンは昼間に採食を行い、水中に30秒未満（最長79秒）潜って餌を探します。夜間は陸上で休息します。日中は海上で20-200羽の群れで行動することが多いですが、海水温が高い時期には単独か番（つがい）または小さな群れで行動します。

食性は動物食で、主にボラやサーディンなどの1-15cmの魚類を食べ、甲殻類も食べると考えられています。陸上では日陰に隠れて暑さをしのぎ、日光を背にして立ち、腋と肢が日陰になるような姿勢で体温を冷まします。高温時には激しく喘いで体温調節を行います。換羽期は不定期で、非繁殖期に行われます。

ガラパゴスペンギンは上陸に適した海岸に近い砂漠地帯の低地で繁殖します。繁殖期には、巣や水中での求愛行動（ディスプレイ）が見られ、「くちばし鳴らし」や「頭回し」といった行動が観察されます。交尾は陸上でも海中でも行われます。周年繁殖しますが、繁殖期は不定期で、海水温が高く食物が少ない時期は繁殖を避けます。海面表層温度が24℃未満の平均水温が低い時期に繁殖が多く、一般には6-9月と12-3月に繁殖活動が活発になりますが、少数は4-5月の雨季にも繁殖します。つがいで繁殖するか、小規模な集団営巣地（コロニー）を形成します。巣は直射日光を避けて、海岸の岩の割れ目や洞窟などに作られ、1回に2個の卵を産みます。抱卵期間は38-40日で、雌雄ともに抱卵します。孵化した雛はおよそ30日間親鳥に育てられ、60-65日で巣立ちます。寿命は11歳以上であることが確認されています。

人間との関係

ガラパゴスペンギンは、人為的に移入されたノイヌ、ノネコ、ドブネズミ、クマネズミによる捕食、船舶事故による海洋汚染、漁業による混獲、観光客による撹乱などの影響で生息数が減少しています。エルニーニョ現象による影響も大きく、1970-1971年には6,000-15,000羽と推定されていましたが、1982-1983年には生息数が23%まで、1997-1998年には34-35%まで激減しました。1999年の推定生息数は1,200羽とされています。

飼育例としては、1963年に浜松市動物園に入来した1羽が国内唯一の記録です。この個体は1965年に上野動物園に移送され、同園は国内で最も多くのペンギンの飼育経験を持つ動物園となっています。

脚注

[参考文献]
トニー.Ｄ.ウィリアムズ他 著、ペンギン会議 訳『ペンギン大百科』平凡社、1999年。ISBN 4-582-51814-1。

[関連項目]
ペンギン目
* フンボルトペンギン属

[外部リンク]

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