キシメジ

キシメジ

キシメジ（学名: Tricholoma flavovirens）は、キシメジ属の中型キノコで、日本国内では主に食用として知られています。しかし、ヨーロッパでは中毒が報告されており、横紋筋融解症を引き起こす原因とされています。地方によっては「キンタケ」、「ウコンシメジ」、「ウコンタケ」とも呼ばれています。分子系統解析の結果、現在の学名は今後変更される可能性があるとされています。

生育環境と分布

キシメジは日本、ヨーロッパ、北アメリカなどの広範な地域に分布し、特に北半球全体に広まっていると考えられています。このキノコは菌根菌で、アカマツなどのマツ林や、コナラ・ミズナラなどの広葉樹林、公園などで見られます。成長する際、他の樹木の根と外生菌根を形成し、栄養や抗生物質の交換を行う共生関係を築いています。子実体は林床の枯れ葉の下に隠れることが多いため、見つけにくいですが、時には菌輪を形成することもあります。

形態的特徴

キシメジの子実体は、傘と柄からなるハラタケ型で、全体が黄色をしています。傘の直径は5～10センチメートルで、表面は淡黄色から青みがかった濃い黄色、中央部は淡い褐色になることがあります。傘は粘性があり、初めは半球形から丸山形で、成長するにつれて水平に開きます。ひだは濃い黄色からレモン色で、密に排列り、柄に湾生から離生しています。

柄は円柱状で、太く短く、長さ5～10センチメートル、太さ1～2センチメートルです。表面は白色から淡い黄色です。肉は白っぽく、無臭ながらわずかに苦味があります。担子胞子は楕円形で、サイズは6〜8×3〜5マイクロメートルで、胞子紋は白です。

分類と系統

日本のキシメジは、色と形が似ているシモコシと同種とされることもあります。さらに、両種はヨーロッパ産の Tricholoma equestre と同一視されることもありますが、別の系統であるとの指摘もあります。日本のキシメジは、分子系統解析により6つのクレードに分類され、従来の T. flavovirens はいくつかの支持を受けていますが、シモコシに見えるものは既存の種と一致していないことが確認され、さらなる分類学的研究が求められています。

人間との関わり

日本では食用として利用されていますが、ヨーロッパでは中毒のリスクから有毒なキノコとして認識されています。山形県では「キンタケ」と呼ばれ、食用としての歴史があります。昔は、強い苦味がある場合、生を水にさらしてから調理する方法が用いられていました。

ヨーロッパでは、Tricholoma equestre の摂取が原因で横紋筋融解症を引き起こし、深刻な症例では死亡に至ることが報告されています。患者は一般に主食として数日の間摂取していたと見られ、筋肉が融解することで腎臓に影響を与え、急性腎不全を起こすリスクがあります。

類似種と識別

形状が似ているシモコシは、キシメジより緑がかった黄色を帯びており、秋から晩秋にマツ属林に発生します。この2種を肉眼で区別するのは難しいことがありますが、シモコシは苦味が無く、食用とされています。また、ニオイキシメジやカラキシメジなども存在し、いずれも独特の香りや苦味を持つため、注意が必要です。

最後に、タマゴテングタケは傘の色が緑色を帯びており、特徴的な識別点があります。これらの情報からも、多様なキノコが存在することが伺えます。キシメジやその近縁種について興味を持つことは、自然を楽しむ一環としても重要です。

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