キッスは殺しのサイン

キッスは殺しのサイン

『キッスは殺しのサイン』（原題：Deadlier Than the Male）は、1967年にイギリスで製作・公開されたスパイ・アクション映画です。監督はラルフ・トーマスが務め、主演はリチャード・ジョンソン、エルケ・ソマー、シルヴァ・コシナらが名を連ねています。

製作背景

本作は、1960年代に世界的な人気を博した「007」シリーズの成功を受けて多数製作されたスパイ映画の一つとして位置づけられます。しかしながら、その原作はそれよりも遥か以前、1920年代から1960年代にかけて連載されたH.C.マクニールによる古典的な冒険小説シリーズ、『ブルドッグ・ドラモンド』に基づいています。原題である「Deadlier Than the Male」は、ノーベル文学賞作家ラドヤード・キップリングが1911年に発表した詩『The Female of the Species』の一節から引用されています。

また、本作には『電撃!スパイ作戦』（Some Girls Do）という続編も存在します。

あらすじ

物語は、地中海の美しい孤島で起こった連続殺人事件から幕を開けます。標的となったのは、アメリカの大手石油会社の社長と、その関係者の一人。実行犯は、息をのむような美貌を持ちながらも、恐るべき冷酷さと戦闘能力を秘めた二人の女暗殺者、エックマンとペネロープでした。彼女たちは、外見からは想像もできないほど危険な存在として描かれます。

これらの事件の背後には、犠牲者であるケラー石油会社とフェニンアン石油会社の合併問題、そしてそれを糸引く国際的な犯罪組織の影が見え隠れしていました。ロンドンに拠点を置くロイド保険組合の一員であり、探偵としての鋭い勘を持つヒュー・ドラモンドは、この一連の不審な出来事が単なる事故や私的な怨恨ではないと見抜き、独自の調査を開始します。

調査を進める中で、ドラモンドはフェニンアン石油会社の重役を訪れたエックマンを目撃し、彼女たちが事件の中心にいることを確信します。これにより、ドラモンド自身が暗殺者たちの次のターゲットとなり、幾度となく命を狙われることになります。

やがてドラモンドは、フェニンアン石油会社がアクマタ国という架空の国の石油利権を巡り、同国の国王暗殺を企てているという巨大な陰謀を知ります。国王への謁見の機会を得たドラモンドは、この恐るべき計画を阻止すべく行動を開始。遂には、暗殺者たちを操る黒幕、ピーターソンとの直接対決に挑むこととなります。ドラモンドは、巧妙に仕組まれた暗殺計画を未然に防ぐことができるのでしょうか。

キャスト

本作の主要なキャストは以下の通りです。

リチャード・ジョンソン （ヒュー・ドラモンド役）
エルケ・ソマー （エックマン役）
シルヴァ・コシナ （ペネロープ役）

日本語吹替

本作の日本語吹替版は複数制作されています。特に知られているのは以下のバージョンです。

テレビ朝日版: 1977年1月8日放送（『土曜映画劇場』枠）。主な出演は家弓家正、小原乃梨子など。
* TBS版: 1972年5月8日放送（『月曜ロードショー』枠）に初放送されたものも存在します。

この映画は、当時のスパイアクション映画のトレンドを取り入れつつ、古典的なヒーローであるブルドッグ・ドラモンドを現代に蘇らせた娯楽作品として楽しまれました。美しくも危険な女暗殺者たちの魅力と、主人公の軽妙な活躍が見どころです。

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