キプロス国家守備隊

キプロス国家警備隊：国の防衛を担う精鋭部隊

キプロス国家警備隊は、キプロス共和国の独立と領土保全を守るために設立された国軍です。その任務は、侵略の脅威や、国の安全を脅かすあらゆる行為に対処し、国民の生命と財産を守るために必要な措置を講じることにあります。設立以来、ギリシャ軍が軍事顧問として指導にあたり、その育成と発展に貢献してきました。

歴史的背景

国家警備隊は、1963年から1964年のキプロス危機を背景に、ギリシャ系住民を中心に1964年に創設されました。これは、キプロス島におけるギリシャ系とトルコ系の住民間の政治的対立が激化した時期にあたります。設立当初から、島の平和と安定を維持するための重要な役割を担ってきました。

近年、国家警備隊は半専門化への移行を進めています。2016年には兵役期間が24ヶ月から14ヶ月に短縮され、約3,000人の職業軍人が雇用されました。しかし、これらの変更は、国民の長年の要望に応えたものではなく、政治的な都合によるものだという指摘もあります。キプロスは、ヨーロッパの防衛協力体制にも参加しており、島へのあらゆる介入に対する抑止力を高めることを目指しています。また、兵役年齢に達したキプロス系移民の男性は、国籍に関わらず兵役義務を負い、出国には国防省の許可が必要となるという特殊な制度も存在します。

実戦経験

1978年には、ラルナカ国際空港でエジプト軍による襲撃事件が発生しました。この際、国家警備隊はエジプト軍に抵抗し、激しい銃撃戦の末、エジプト軍に多数の死傷者を出すとともに、航空機や車両を破壊しました。この事件により、エジプトとキプロスの外交関係は一時断絶しましたが、その後修復され、現在では両国は緊密な戦略的関係を築いています。

近代化の推進

2017年2月には、海上守備隊がオマーンから海洋哨戒船を寄贈されました。この船は、キプロス海軍が以前に運用していたどの船よりも大きく、ヘリコプターパッドや拡張された宿泊設備を備えています。同年11月には、ヘリコプター8機の取得計画も発表され、フランスからSA-342Lガゼル偵察対戦車ヘリコプター4機が導入されるとともに、攻撃ヘリコプター4機の選定も進められています。さらに、既存のガゼルヘリコプターのアップグレードや、無人航空機（UAV）の導入も検討されています。

多岐にわたる装備

国家警備隊は、多様な装備を保有しています。主力戦車としては、ロシア製のT-80Uやフランス製のAMX-30B2を運用しています。装甲偵察車としては、ブラジル製のEE-9カスカベルを装備。歩兵戦闘車としては、ロシア製のBMP-3を、装甲兵員輸送車としては、ギリシャ製のレオニダスやフランス製のVABを運用しています。火砲やロケット砲も多数保有しており、自走榴弾砲や榴弾砲、自走ロケット砲などが配備されています。対戦車兵器や対空兵器も充実しており、様々な脅威に対応できる体制を整えています。

今後の展望

キプロス国家警備隊は、半専門化を進め、装備の近代化を図ることで、ますます高度化する脅威に対応できる、より強力な軍隊へと発展していくことが期待されています。地中海地域における平和と安定に貢献するため、その役割は今後ますます重要になっていくでしょう。

もう一度検索