キム

「キム」は、漢字の「金」に由来する東アジア系の姓、あるいは欧米などで用いられる個人名（男性・女性）、さらには愛称や固有名詞など、多岐にわたる意味を持つ言葉です。本項目では、これらの様々な「キム」について解説します。

姓としてのキム

主に韓国やベトナムで用いられる姓の一つです。漢字の「金」の韓国語読みである김（Kim）やベトナム語の発音（Kim）に由来します。特に韓国においては非常に一般的な姓であり、全人口の約5人に1人が「金（キム）」姓であるとも言われます。

著名な人物（姓）

朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者とその親族。
金正恩（キム・ジョンウン） - 現在の最高指導者。
金正日（キム・ジョンイル） - 金正恩氏の父。
金日成（キム・イルソン） - 金正日氏の父。
大韓民国
金大中（キム・デジュン） - 第15代大統領。
金泳三（キム・ヨンサム） - 第14代大統領。
その他、政治家、スポーツ選手（金炳賢氏、金泰均氏、金妍兒氏など）、文化人、実業家など多数の著名人が存在します。

名としてのキム

世界各地、特に欧米を中心に個人名としても広く用いられます。その由来や性別は地域によって異なります。

英語圏
男女どちらにも用いられます。元来はキンバリー（Kimberly, Kimberley）またはキンボール（Kimball）といった名前の愛称や短縮形として使われましたが、現在では「キム」単独で正式な名前として登録されることも少なくありません。キンバリーの派生形であるKimberlee, Kimberleigh, Kimberli, Kimberlie, Kimberlyといった綴りは、主に女性に付けられる傾向があります。
著名な人物（名）：キム・ワイルド（歌手）、キム・ベイシンガー（女優）、キム・カーダシアン（女優）、キム・クライシュテルス（テニス選手）、キム・ニューマン（作家）など多数。
ゲルマン語圏
主にスカンジナビア諸国などで男性名として用いられます。ヨアキム（Joachim, Joakim）の愛称・略称が起源ですが、独立した名前としても使われます。
著名な人物（名）：キム・シェルストレーム（サッカー選手）、キム・ダロック（外交官）など。
ロシア語圏
男性名として用いられます。イオアキム（Иоаким, Ioakim）の愛称・略称に由来し、正式な名前となることもあります。また、かつては共産主義青年インターナショナルの略称Ким（KIM）の頭文字に由来することもあり、ソビエト時代にこの名前が好まれた時期がありました。
著名な人物（名）：キム・フィルビー（スパイ）など。
ポルトガル語圏
男性名クイン（Quim）として知られ、ヨアキン（Joaquim）の愛称・略称として使われます。
著名な人物（名）：ジョアキン・シルヴァ氏（登録名クイン、サッカー選手）など。

愛称・略称など

人名の愛称や、特定の文脈での略称としても使われます。

日本の芸能人においては、木村祐一氏の「キム兄」、木村拓哉氏の「キムタク」、インディアンスの木村亮介氏の「きむ」など、名字の「木村」に由来する愛称が定着しています。
元宝塚歌劇団雪組トップスターの音月桂氏の愛称も「キム」です。
プロレスラーのタイガー戸口氏が使用したリングネームの一つに「キム・ドク」があります。
一部の事件においては、指示役の通称として「キム」が報道で用いられた例もあります。

架空の人物

小説、演劇、漫画、アニメ、ゲームなど、数多くのフィクション作品に「キム」という名のキャラクターが登場します。

ミュージカル『ミス・サイゴン』の主人公。
ラドヤード・キップリングによる小説『少年キム』の主人公、キンバル・オハラ。
ディズニーアニメ『キム・ポッシブル』の主人公、キンバリー・アン・ポッシブル。
米FOX系テレビドラマ『24 -TWENTY FOUR-』に登場するキンバリー・バウアー。
対戦型格闘ゲーム『餓狼伝説』や『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズなどに登場する人気キャラクター、キム・カッファン。彼は正義を重んじるテコンドーの達人として描かれています。
その他、『北斗の拳』、『ゼノギアス』、『イノセンス』、『キムの幽霊』、『ソウルイーター』、『サムライスピリッツ』シリーズ、『式神の城』シリーズ、『龍が如く』シリーズ、『超時空要塞マクロス』、『スタートレック:ヴォイジャー』など、多様な作品に登場します。

人名以外の「キム」

人名以外にも、「キム」という言葉はいくつかの異なる意味で使われます。

海苔: 韓国語で「海苔」を김（キム）と呼びます。
楽器: タイの伝統的な打弦楽器の一つに「キム」があります。台形の木枠に張られた弦を竹製のばちで打って演奏します。
KIM-1: 1970年代にMOSテクノロジー社から発売された、初期のマイクロコンピュータキットです。
KIM: 過去に存在した国際的な共産主義組織、共産主義青年インターナショナル（Коммунистический Интернационал Молодёжи）のロシア語における略称です。

これらの多岐にわたる意味から、「キム」という言葉が様々な文化や分野で用いられていることがわかります。

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