キャプチャ (録画ソフト)

画面キャプチャとは

画面キャプチャ（ビデオキャプチャ）とは、コンピュータなどの画面に表示される映像情報を、静止画または動画ファイルとして取り込み、保存する処理のことです。この処理を実現するために、コンピュータに搭載されるハードウェアは「キャプチャデバイス」、ソフトウェアは「キャプチャソフト」と呼ばれます。この記事では、主に動画のキャプチャについて詳しく解説します。

キャプチャ対象

パソコン上でキャプチャできる対象は多岐にわたります。

テレビ放送
地上デジタル放送に対応したキャプチャデバイスが主流です。日本では、B-CASによる暗号化基準のため、当初はメーカー製PCに内蔵される形でのみ販売されていました。その後、基準が緩和され、PCに増設可能なキャプチャデバイスも登場しましたが、依然として制限が多い状況です。海外では、デジタル放送の動画を比較的自由にキャプチャできる機器も存在します。
各種映像機器からの入力
ビデオデッキや監視カメラなど、他のAV機器からの映像を取り込みます。アナログ信号の場合はコンポジット信号やS-Video信号、デジタル信号の場合はHDMIデータを用いるのが一般的です。
再生中の動画ファイルやストリーミング放送
ストリーミング配信されている動画など、再生中の映像を別の形式で保存します。通常は変換ソフトウェアを使用しますが、状況によっては画面キャプチャを利用することもあります。ただし、確実性は高くありません。
GUIの操作画面
ウィンドウ操作やアプリケーションのGUI操作を動画として記録します。

必要となる機材

キャプチャには、ハードウェアとソフトウェアの両方が必要です。

ハードウェア

テレビ放送やビデオテープなどの映像をパソコンに取り込むには、キャプチャデバイスが必要です。

キャプチャデバイス
既製のテレビパソコンには、キャプチャデバイスが内蔵されていることが多いです。別途用意する場合は、拡張カード（キャプチャカード）をPCに内蔵するか、USBやIEEE 1394などの外部インターフェースを利用します。
内蔵型はデスクトップPCではPCIやPCI Express、ノートPCではPCカードで接続します。
外付け型は、ケーブル一本で接続できる手軽さが魅力です。また、PC内部のノイズの影響を受けにくいという利点もあります。

ソフトウェア

キャプチャデバイスを制御するためのソフトウェアは、通常ハードウェアに付属しています。

キャプチャソフト
電子番組ガイド (iEPG) 対応、MPEG-2からMPEG-4への自動変換、デジタルオーディオプレーヤーへの転送機能などを持つものもあります。
iTunesと連携し、録画した番組を自動的に携帯端末に転送するシステムもあります。

エンコーディング

キャプチャした動画は、データ量を削減するためにエンコード処理を行います。

エンコード形式
MPEG-2やMPEG-4形式が一般的です。画質劣化を最小限に抑えたい場合は、無圧縮形式で保存することもありますが、データ量は非常に大きくなります。
エンコード処理
キャプチャデバイス内の専用チップでエンコードする方法（ハードウェアエンコード）と、PCのCPUでソフトウェア処理する方法（ソフトウェアエンコード）があります。GPUを利用するハードウェアエンコードもあります。

ソフトウェアエンコード

PCのCPUでエンコード処理を行います。CPU性能が低いと、コマ落ちや音ズレが発生することがあります。CPUによっては、動画エンコード支援機能を利用できます。

ハードウェアエンコード

キャプチャデバイス内のLSIでエンコード処理を行います。PCのCPU負荷を軽減できますが、専用のソフトウェアやドライバが必要となることがあります。

キャプチャ時の設定

キャプチャ時の設定により、画質やデータ量が変化します。

解像度
SDTV映像では720×480が最大解像度です。携帯機器での利用を考慮し、低解像度でキャプチャすることもあります。
デジタル放送では、1440×1080（地上波デジタル）や1920×1080（BS/CS110）などの高解像度でキャプチャします。
解像度は、後からソフトウェアで変換することも可能です。
コーデック・ビットレート
DVD-Video作成を考慮し、MPEG-2形式で保存することが多いです。
携帯端末での再生にはMPEG-4形式が便利です。
ビットレートは、初期設定で6Mbps程度が多いですが、最大15Mbps程度で保存できるハードウェアもあります。
デジタル放送の場合、MPEG2-TS形式で保存されます。暗号化されており、編集や再圧縮は困難です。

各プラットフォームでのキャプチャ

キャプチャ製品は、さまざまなOSに対応しています。

Windows
多くの製品が対応していますが、OSのバージョンによっては、動作しない場合もあります。Windows Media Centerに対応した製品も存在しましたが、Windows 10で廃止されました。
macOS
一部のUSB/FireWire接続製品が利用可能です。Boot CampでWindowsを動作させる方法もあります。
Linux
PCI/PCカード/USB接続の製品が利用可能です。Video for Linux (V4L) というAPIが標準化されており、多くのキャプチャソフトウェアが対応しています。
FreeBSD
Linux用ソフトウェアを動作させることが理論上可能ですが、環境構築のハードルが高いです。
その他
MSXなどの古いシステムでも、静止画キャプチャやパラパラ動画の録画が可能でした。

関連事項

録画
TVチューナー
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