キョウジョシギ

キョウジョシギ（京女鷸、学名：Arenaria interpres）は、チドリ目シギ科に分類される鳥類の一種です。その和名は、特徴的なまだら模様が京都の女性の着物に似ていることに由来します。一方、英名「Ruddy Turnstone」は、彼らがくちばしを使って石をひっくり返し、餌を探す独特の行動にちなんで名付けられました。

分布

キョウジョシギは、ユーラシア大陸北部や北アメリカ北部のツンドラ地帯で繁殖を行います。繁殖を終えると、冬季は南アジア、南アメリカ、アフリカ、オーストラリアなど広範囲に渡って渡り、越冬します。日本においては、旅鳥として春と秋の渡りの時期に多数飛来します。特に南西諸島では、一部が越冬することもあります。

形態

体長は約24cmで、「シギ」という名前がついていますが、他のシギ類に比べるとくちばしと足が短く、ずんぐりとした体形をしています。むしろチドリ類に近い外見を持つため、以前はチドリ科に分類されていたこともありました。足は鮮やかな橙色で、腹部は白色をしています。胸と顔には黒い模様があり、特徴的です。夏羽では、背中側が茶色と黒のまだら模様となり、頭部には白い部分が現れます。冬羽になると、頭部と背中は茶色になり、鱗のような模様に変化します。

生態

非繁殖期には、干潟、岩礁、水田など水辺の環境に生息し、数十羽の群れを形成することが一般的です。彼らの最も特徴的な行動は、水辺の小石、海藻、木片などをくちばしで器用にひっくり返しながら餌を探す採餌行動です。短く丈夫なクチバシは、この行動に非常に適しています。主な餌は小さな昆虫、ゴカイ、甲殻類などですが、動物の死骸や生ゴミも食べる雑食性です。二枚貝を捕食する際には、殻を器用に開けて中の身を食べます。繁殖期には、ツンドラ地帯の地上に巣を作り、3〜4個の卵を産みます。子育てはオスとメスが協力して行います。

キョウジョシギは、その独特な模様と採餌行動で、観察者にとって非常に魅力的な鳥です。渡りの時期には、その姿を日本の各地で見ることができるでしょう。彼らの生態を理解することは、自然環境保全の重要性を認識する上で、非常に重要な意味を持ちます。

脚注

キョウジョシギの学名「Arenaria interpres」は、「砂を掘る者」という意味を持ち、その採餌行動をよく表しています。

関連項目

日本の野鳥一覧

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