キーロフ (巡洋艦)

ソ連巡洋艦キーロフ：激戦を生き抜いた歴戦の勇姿

キーロフは、ソ連海軍が誇るキーロフ級巡洋艦の1番艦として、その名を歴史に刻みました。艦名は、ソビエト連邦の政治家セルゲイ・キーロフに由来します。1930年代にレニングラードのバルチック造船所で建造が開始され、その就役から解体まで、数多くの戦いと試練を経験しました。

誕生から初期の活動

1935年10月22日、キーロフはバルチック造船所（第189造船所）で起工されました。1936年11月30日に進水し、1938年9月26日に竣工、バルト海艦隊に配属されました。しかし、就役直後から不具合が発覚し、ニューヨーク国際産業見本市への派遣計画は中止となりました。

1939年、ソ連とバルト海沿岸諸国との間で相互援助条約が締結されると、キーロフは10月22日にラトビアのリエパヤに配備されました。同年11月30日、冬戦争が勃発すると、駆逐艦とともにルッサレ島の砲台攻撃に参加し、180mm砲弾35発を発射。しかし、フィンランド軍からの反撃により至近弾を受け、損傷しました。その後、冬戦争中はリエパヤに留まりました。

第二次世界大戦での活躍

1941年8月下旬、キーロフはタリン防衛戦に参加しました。資料によると、8月25日には15cm砲弾が命中し、死者9名、負傷者30名を出す損害を受けました。また、別の資料では、ドイツ軍の砲撃による直接的な被害はなかったものの、爆撃によって1発被弾、さらに至近弾によって同様の死傷者が出たとされています。一方、キーロフはドイツ軍に対し180mm砲弾235発を発射しました。

続いて、キーロフはレニングラード防衛戦にも参加しました。1941年9月には空襲により命中弾2発（1発は不発）と多数の至近弾を受け、死者3名、負傷者12名を出す被害に見舞われました。1942年4月4-5日の空襲では爆弾1発が命中、同月24日には爆弾3発と15cm砲弾1発を受け、死者86名、負傷者46名という甚大な被害を受けました。その後、レニングラードの第189造船所で修理と改装工事が行われました。

1943年2月、キーロフは赤旗勲章を授与されました。1944年6月にはフィンランドのマンネルハイム線を砲撃するなど、戦時中も精力的に活動を続けました。

戦後と退役

1945年10月17日、キーロフはクロンシュタット近海で触雷し、深刻な損傷を受けました。1946年12月20日、修理が完了し、戦後の海上防衛にも貢献しました。1949年11月から1953年4月にかけては近代化改装が行われ、更なる強化が図られました。

1958年4月29日、キーロフは予備役となり、1960年9月には練習巡洋艦として再編されました。または、1960年8月2日に練習巡洋艦に類別変更されました。1968年のセベル演習では旗艦を務め、1970年のオケアン演習にも参加し、その長い艦歴の中で重要な役割を果たしました。

1974年2月22日、キーロフはついに除籍され、その後解体されました。その歴史を今に伝えるものとして、180mm砲塔2基がレニングラードで保存されています。

キーロフの改装と技術

キーロフは、その艦歴の中で数回にわたり改装が行われ、技術的な進化が図られました。特に戦後の近代化改装では、レーダーやソナーなどの電子機器が更新され、より強力な対空兵装や対潜兵装が搭載されたと考えられます。

キーロフ級巡洋艦は、その強力な主砲と高い機動性で知られており、ソ連海軍の主力艦艇として重要な役割を担いました。

まとめ

キーロフは、その就役から解体まで、数々の戦場を駆け抜け、ソ連海軍の歴史を彩った重要な艦艇でした。第二次世界大戦中には幾度も損傷を受けながらも、その都度修理と改装を重ね、戦後も練習巡洋艦として活躍しました。その激動の生涯は、ソ連海軍の栄光と苦難を象徴する存在と言えるでしょう。

参考資料

アンドレイ・V・ポルトフ『ソ連/ロシア巡洋艦建造史』世界の艦船 増刊第94集、2010年、海人社
Vladimir Yakubov, Richard Worth, "The Soviet Light Cruisers of the Kirov Class", Warship 2009, Conway, 2009, ISBN 978-1-84486-089-0, pp. 82–95

もう一度検索