ギデオン・J・ピロー

ギデオン・ジョンソン・ピローは、1806年6月8日にテネシー州で生まれました。弁護士としてキャリアをスタートさせ、政治家としても活動、南北戦争では南軍の将軍として名を残しました。しかし、その軍歴は成功と失敗が交錯するものでした。

初期の経歴

ピローは、ナッシュビル大学を卒業後、テネシー州で法律事務所を開業し、後の大統領ジェームズ・ポークと共同経営者として働きました。また、テネシー州民兵隊の准将も務めました。

米墨戦争

1846年、米墨戦争が勃発すると、ピローは准将としてアメリカ陸軍に参加しました。その功績が認められ、少将に昇進。しかし、戦争中にウィンフィールド・スコット将軍と対立するようになりました。ピローが匿名で書いた手紙が新聞に掲載され、自らの功績を誇張したことが発覚、スコットに逮捕され軍法会議にかけられました。最終的に無罪となりましたが、軍を除隊することになりました。

南北戦争

南北戦争が勃発すると、ピローは南軍に加担し、テネシー州民兵隊の上級少将に任命されました。その後、南軍の准将となり、短期間ながら部隊の指揮を執りました。初期の戦闘であるベルモントの戦いでは、北軍のグラント准将と戦い、引き分けに終わりましたが、その功績を認められアメリカ連合国議会から感謝決議を受けました。

ドネルソン砦の戦いでは、ピローは重要な役割を担いましたが、その采配が誤りであったとされています。彼は一時的に脱出路を開放したものの、不可解な行動により撤退。その結果、南軍は砦を失うことになりました。この失態により、ピローは指揮官を解任されました。ストーンズリバーの戦いでは、師団の1旅団を指揮しましたが、この戦いの後、ブラクストン・ブラッグ将軍を批判し、以降、戦闘任務から外されました。その後、捕虜の兵站総監となり、終戦間際に北軍に捕らえられましたが、後に釈放されました。

戦後

戦後、ピローは破産状態に陥りましたが、法律事務所を再開し、成功を収めました。1878年に亡くなり、メンフィスのエルムウッド墓地に埋葬されました。

ピローの生涯は、弁護士、政治家、そして軍人として、その能力と野心、そして失態と挫折が混在した複雑なものでした。特に南北戦争におけるドネルソン砦での失態は、彼の軍人としての評価を大きく左右することとなりました。しかし、その波乱に満ちた人生は、アメリカの歴史の中で忘れられない一ページを刻んでいます。

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