ギリシャ第二共和政

ギリシャ第二共和政

ギリシャ第二共和政（1924年 - 1935年）は、ギリシャ王制が一時的に中断された時代に成立した政治体制です。この期間は、ギリシャ国内の政治的対立、経済的困窮、そして軍部の介入が複雑に絡み合い、非常に不安定な時代でした。

第二共和政成立の背景

1922年、希土戦争でのギリシャの敗北は、国内に大きな混乱をもたらしました。この敗戦の責任を問われたコンスタンティノス1世は退位を余儀なくされ、王制は一時的に崩壊。その結果、1924年3月25日に第二共和政が宣言されました。しかし、この新体制は、以前から存在していた政治的対立を解消することができませんでした。エレフテリオス・ヴェニゼロスを支持するヴェニゼリストと、王党派との対立は根深く、第二共和政を不安定にする要因となりました。さらに、ギリシャは第一次世界大戦で荒廃した経済に加え、希土戦争後の住民交換によって発生した150万人の難民への対応を迫られ、財政はさらに圧迫されました。

政治的混乱

第二共和政下では、政治的混乱が絶えませんでした。ヴェニゼリストと王党派の対立は、政治だけでなく、文化や社会問題にまで波及。この二極化は、何度もクーデターやクーデター未遂を引き起こす原因となりました。1925年には、セオドロス・パンガロスによる軍事独裁政権が成立しましたが、国際連盟からの賠償金支払いを命じられる失態を犯し、短期間で失脚。その後、エレフテリオス・ヴェニゼロスが首相に就任し、改革を試みましたが、世界恐慌の影響を受け、経済はさらに悪化しました。

第二共和政の終焉

1933年、選挙で人民党が勝利し、王政復古の動きが活発化。ヴェニゼリストによるクーデターも失敗に終わり、元国王ゲオルギオス2世の復位への道が開かれました。1935年、ヴェニゼリストの将校らが再びクーデターを試みましたが、これも失敗。これを機に、反ヴェニゼリスト勢力は共和制を廃止し、国民投票（実質は操作されたもの）で王政復古を追認しました。ゲオルギオス2世は正式に復位し、第二共和政は終焉を迎えました。

第二共和政後のギリシャ

王政復古後、ギリシャは再び政治的混乱に見舞われます。選挙では、王党派と共和派の勢力が拮抗し、共産党がキャスティングボートを握る状況となりました。この状況を打開するため、陸軍大臣のパパゴスが軍の不安を訴えますが、逆に解任され、イオアニス・メタクサスが後任に任命されました。1936年、メタクサスは、労働問題の深刻化を理由に、憲法を一時停止。これを口実に、軍事独裁政権（八月四日体制）を樹立し、ギリシャは新たな時代へと突入しました。

まとめ

ギリシャ第二共和政は、政治的対立、経済的困窮、軍部の介入が複雑に絡み合った、非常に不安定な時代でした。この時期の混乱は、後のギリシャの歴史に大きな影響を与えることになります。短期間で終わったこの共和政は、民主主義の脆弱性と、政治的安定の重要性を教えてくれる歴史の一例と言えるでしょう。

参考文献

リチャード・クロッグ著・高久暁訳『ギリシャの歴史』創土社、2004年。ISBN 4-789-30021-8。
周藤芳幸・村田奈々子共著『ギリシアを知る辞典』東京堂出版、2000年。ISBN 4-490-10523-1。
* 桜井万里子著『ギリシア史』山川出版社、2005年。ISBN 4-634-41470-8。

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