ギーゼラ・フォン・シュヴァーベン

ギーゼラ・フォン・シュヴァーベン：皇后、母、そして政治の舞台の立役者

ギーゼラ・フォン・シュヴァーベン（990年11月11日 - 1043年2月14日）は、神聖ローマ皇帝コンラート2世の皇后であり、皇帝ハインリヒ3世の母として歴史に名を刻んでいます。彼女の出自はコンラディン家のシュヴァーベン公ヘルマン2世に遡り、その生涯は数々の結婚、政治的な駆け引き、そして信仰への献身によって彩られています。

生い立ちと結婚

ギーゼラは、シュヴァーベン公ヘルマン2世とゲルベルガ（ブルグント王コンラートの娘）の間に生まれました。両親ともにカール大帝の血を引く高貴な家柄です。彼女は生涯で3度の結婚を経験しています。

最初の結婚は1002年頃、ザクセン貴族のブラウンシュヴァイク伯ブルノ1世との間でした。ブルノの死後、1012年頃にバーベンベルク家のエルンスト1世と再婚。エルンスト1世は、ギーゼラの弟ヘルマン3世の死後にシュヴァーベン公位を与えられましたが、この結婚はその継承を正当化する意味合いを持っていました。エルンスト1世の死後、ギーゼラは幼い息子エルンスト2世の摂政となります。しかし、3度目の夫となるコンラート2世によって摂政の座を追われ、それがエルンスト2世とコンラート2世の対立の一因となりました。

3度目の結婚は、1017年1月以前にコンラート2世と行われました。コンラート2世は1024年にローマ王に選出され、1027年には神聖ローマ皇帝に即位します。年代記作家メルゼブルクのティートマールによれば、マインツ司教アリボは、ギーゼラとコンラート2世の近親関係を理由に、ギーゼラへの皇后としての戴冠を拒否しました。しかし、コンラートが皇帝として戴冠された13日後、ケルン大司教ピルグリムが代わりに戴冠を執り行いました。

政治的な役割

ギーゼラは、単に皇后として宮廷に留まるだけでなく、積極的に政治に関与しました。帝国議会に参加し、叔父ルドルフ3世からアルル王国を夫コンラート2世に継承させるなど、重要な役割を果たしました。また、教会の会議にも参加し、影響力を行使しました。姉マティルデの娘であるゾフィーとベアトリスが、それぞれバル女伯およびトスカーナ辺境伯領の摂政として政治的な役割を果たせるよう取り計らうなど、女性の地位向上にも貢献しました。

1039年に夫コンラート2世が死去した際には、息子ハインリヒ3世とともに葬儀を執り行い、その死を悼みました。

死と遺産

ギーゼラは1043年、赤痢のためゴスラーの宮殿で生涯を閉じました。彼女の遺体は、他の帝室の一員とともにシュパイアー大聖堂に埋葬されました。1900年に墓が開けられた際、ミイラ化した遺体から身長172cm、ブロンドの髪であったことが判明しました。

ギーゼラ・フォン・シュヴァーベンは、単なる皇后としてだけでなく、政治的な影響力を持つ女性として、また、母として、その時代に大きな足跡を残しました。彼女の生涯は、中世ヨーロッパの政治と社会における女性の役割を考える上で、重要な事例を提供しています。

子女

ブラウンシュヴァイク伯ブルノ1世との間には以下の子女がいました。

リウドルフ（1003年頃 - 1038年） - フリースラント辺境伯
娘（1004年頃 - ?） - フォルムバッハ伯ティエモ2世と結婚
ギーゼラ（1005年頃 - 1052年頃） - ザンガーハウゼン伯ベルトルトと結婚

シュヴァーベン公エルンスト1世との間には以下の子女がいました。

エルンスト2世（1013年頃 - 1030年） - シュヴァーベン公
ヘルマン4世（1015年頃 - 1038年） - シュヴァーベン公

神聖ローマ皇帝コンラート2世との間には以下の子女がいました。

ハインリヒ3世（1017年 - 1056年） - 神聖ローマ皇帝
マティルデ（1027年 - 1034年） - フランス王アンリ1世と婚約
ベアトリクス（1030年頃 - 1036年）

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