アルル王国

アルル王国：ブルグント王国の継承と終焉

アルル王国は、933年に成立した歴史的な王国です。ブルグント王国とも呼ばれ、その領域は現在のフランスのプロヴァンス＝アルプ＝コート・ダジュール地域圏、ローヌ＝アルプ地域圏、フランシュ＝コンテ地域圏、そしてスイス西部にまで及ぶ広大なものでした。アルルを首都としたことから、この名が付けられました。

カロリング朝時代のブルグント

534年、フランク王国によるブルグント王国の征服後、その地はフランク王国、そしてカロリング帝国の支配下に置かれました。843年のヴェルダン条約によるカロリング帝国分割を経て、ブルグントは中フランク王国の一部となりますが、その一部は西フランク王国に属しました。その後、複雑な継承問題と領土分割を経て、9世紀末には、上ブルグント（ユーラブルグント）と下ブルグント（キスユラブルグント）という二つの勢力が形成されました。

アルル王国の成立と発展

933年、下ブルグントの支配者であったイタリア王ウーゴが、上ブルグントのルドルフ2世に下ブルグントを譲渡しました。これにより、ルドルフ2世は上下ブルグントを統一し、アルル王国を成立させました。この統一には、ウーゴとルドルフの間のイタリア王位争いと、東フランク王国（後の神聖ローマ帝国）の介入が大きく関わっていました。ルドルフ2世の死後も、その子孫がアルル王国を継承し、11世紀初頭には神聖ローマ帝国の皇帝ハインリヒ2世との間で王位継承に関する条約が締結されました。

神聖ローマ帝国におけるアルル王国

1032年、ルドルフ3世の死後、アルル王国は神聖ローマ帝国に併合されました。皇帝は「アルル王」の称号を保持しましたが、アルルでの戴冠は例外的なケースでした。アルル王国は名目上は帝国の一部でしたが、実際には相当の自治権を有し、11世紀から14世紀にかけてプロヴァンス伯領、ドーフィネ、サヴォイア伯国など複数の勢力に分裂と統合を繰り返しました。この過程で、ブルゴーニュ伯領は帝国からの独立性を高め、後にハプスブルク家の勢力圏に入りました。

アルル王国の衰退と消滅

13世紀には、プロヴァンス伯位はフランス王家と結びつき、アルル王国の領土は次第にフランス王国の影響下に置かれていきました。14世紀に入ると、フランス王国はアルル王国の領土を次々と併合していき、1365年にはルクセンブルク朝の皇帝カール4世が最後のアルル王として戴冠しました。しかし、その時点ではアルル王国はサヴォイア伯国を除き、フランスの支配下、あるいは事実上独立した勢力に分裂していました。最終的に、カール4世はサヴォイア伯国をアルル王国から分離し、残りの領土の支配権をフランス王太子（ドーフィネ伯）に与えました。1378年、アルル王国は神聖ローマ帝国の構成国としての地位を失い、事実上消滅しました。

消滅後のアルル王国

アルル王国は消滅しましたが、「アルル王」の称号は神聖ローマ皇帝が1806年の帝国解体まで名乗り続けました。また、アルル王国領は、フランス革命を経て、スイスを除き全てフランス領となりました。プロヴァンス伯領、ブルゴーニュ伯領なども最終的にはフランスに併合され、アルル王国の歴史は終わりを告げました。

関連項目

* ブルグント王の一覧

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