クイリナーレ

クイリナーレの丘は、ローマの起源となった七つの丘の一つであり、古代から重要な役割を果たしてきた場所です。現代のローマでは、9月20日通りとクイリナーレ通りに囲まれたエリアに位置し、丘の先端にはクイリナーレ広場とクイリナーレ宮殿がそびえ立っています。丘の幅は約500mと比較的狭く、ヴィミナーレの丘との間にはナツィオナーレ通りが、ピンチョの丘との間にはサン・ニコラ・ダ・トレンティーノ通りが通っています。

古代ローマ時代

クイリナーレの丘は、かつて「Collis Latiaris」「Mucialis」「Salutaris」という三つの丘の集まりの一部でした。しかし、16世紀以降の建物の建設により、その区別は失われてしまいました。ローマの伝説によると、この丘にはサビニ人の小さな村があり、ティトゥス・タティウス王がローマとの和平後に居住したとされています。サビニ人は、彼らの神「クゥイリーヌス」に捧げる祭壇を建て、その神の名が丘の名前の由来となりました。紀元前8世紀から7世紀にかけての墓が発見されており、サビニ人がこの地域に住んでいた証拠とされています。また、ルキウス・パピリウス・クルソルが第三次サムニウム戦争の勝利を記念して、クゥイリーヌスの墓をこの丘に移したという記録もあります。

一部の歴史家は、カンピドリオの丘よりも前に、この場所で「三主神」（ユーピテル、ユーノー、ミネルワ）が祀られていた可能性を指摘しています。また、オスク＝サビニの神フローラの聖域もこの丘にありました。紀元前446年には、サンクス神に捧げられた神殿が建てられ、アウグストゥス帝はマールス神に捧げる神殿の建設を命じました。コンスタンティヌス1世は、この地に街の最後の浴場を建設しましたが、その建物は失われてしまいました。ただし、16世紀の絵画にはその姿が描かれています。

中世から現代

中世には、ミリツィエの塔とサンティ・ピエトロ・エ・ドメニコ修道院が建設され、コンスタンティヌス浴場の跡地にはロスピリオージ宮殿が建てられました。この宮殿の前には、現在もクイリナーレ広場にあるディオスクーロイ騎馬像や、ミケランジェロがカンピドリオのセナトリオ宮殿の階段上に移動させた川の神の像がありました。

クイリナーレの丘には、古代ローマ時代から現代に至るまで、多くの歴史的な建造物が建てられてきました。その中でも特に有名なのが、1583年にローマ教皇グレゴリウス13世の宮殿として建設され、現在はイタリア共和国大統領官邸として使われているクイリナーレ宮殿です。

見どころ

クイリナーレの丘には、以下の様な見どころがあります。

クイリナーレ宮殿: イタリア共和国大統領官邸。豪華な内装と庭園が有名。
サンタンドレア・アル・クイリナーレ教会: バロック様式の美しい教会。ベルニーニが設計。
クアットロ・フォンターネとサン・カルロ・アッレ・クアットロ・フォンターネ教会: ボッロミーニが設計した教会。ユニークなデザインが特徴。
ヴォルピ・ディ・ミズラータ宮殿: サン・カルリーノ教会の前にある宮殿。
ドラーゴ宮殿: 歴史的な宮殿。
バラッキーニ宮殿: 現在は防衛省として使用されている宮殿。
サン・シルヴェストロ・アル・クイリナーレ教会: 16世紀に再建された教会。
コロンナ荘: 17世紀に建てられた邸宅。カラカッラのセラーピス神殿の跡地にある。
コンスルタ宮殿: 現在はイタリアの最高司法府である憲法裁判所となっている。
ディオクレティアヌス浴場: ローマ帝国時代の公衆浴場の遺跡。隣のヴィミナーレの丘との間付近に位置する。

アクセス

クイリナーレの丘へは、ローマ地下鉄A線のバルベリーニ駅またはレプッブリカ駅が便利です。どちらの駅も丘の麓に位置しています。

クイリナーレの丘は、古代ローマ時代から現代に至るまで、ローマの歴史と文化を体現する重要な場所です。その歴史的な建造物や美しい景観は、訪れる人々を魅了し続けています。

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