ピンチョの丘

ピンチョの丘：ローマの絶景と歴史が交錯する場所

ピンチョの丘（イタリア語: Pincio、ラテン語: Mons Pincius）は、ローマの歴史的中心地の北東に位置する丘で、クイリナーレの北にあります。この丘はカンプス・マルティウスを一望できる絶好のロケーションにあり、ローマの美しい景観を楽しむことができます。古代ローマの市域外に位置しており、ローマ七丘には含まれませんが、アウレリアヌス城壁の内側にあります。

古代ローマ時代のピンチョの丘

古代ローマ時代、この丘は「ホルトゥロルムの丘（ラテン語: Collis Hortulorum）」と呼ばれていました。共和政ローマ後期には、有力な氏族がこの丘の南斜面に別荘や庭園（horti）を築き、ルクッルス庭園やサッルスティウス庭園などが有名でした。これらの庭園は、当時のローマの富裕層の生活を垣間見ることができる貴重な遺産です。

現在のピンチョの丘

現在のピンチョの丘の景観は、1809年から1814年にかけてジュゼッペ・ヴァラディエによって造園されたものです。彼は、果樹林の中に幅の広い並木道（viali）を整備し、既存の建築物や美しい景観を結びつけました。また、ヴィラ・メディチからオベリスクへと続く並木道は、丘の象徴的な存在です。このオベリスクは、1822年9月に建てられたもので、実はエジプトのものではなく、ハドリアヌス帝が愛したアンティノウスの記念碑として建てられたローマのオベリスクです。

ポポロ広場を見下ろす場所には、「ナポレオン広場」が設けられています。ナポレオン自身はローマを訪れたことはありませんが、この広場からはローマの中心部を一望できます。ヴァラディエは、ポポロ広場とナポレオン広場を大きな踊り場を挟んだ階段でつなぎ、さらにスイッチバック式の馬車用の道も作りました。ピンチョの丘の並木道には、ジュゼッペ・マッツィーニの提案により、著名なイタリア人の胸像が並べられ、歴史と文化を感じることができます。

ピンチョの丘周辺

ピンチョの丘はボルゲーゼ公園と歩道橋でつながっており、徒歩で簡単に移動できます。丘の下の谷間にはムーロ・トルト通りが走っており、この通りはアウレリアヌス城壁に沿って進み、ピンチアーナ門へと続いています。ピンチョの丘は、歴史的な遺産と美しい自然が融合した、ローマの魅力的な観光スポットの一つです。

ローマの七丘について

ローマには、歴史的に重要な7つの丘があります。これらの丘は、ローマの都市形成と発展に深く関わっており、それぞれが独特の歴史と文化を持っています。

初期ローマの七丘

都市ローマ成立以前に人が定住したとされる丘は、オッピウス（オッピオ）、パラティウム（パラティーノの東側）、ウェリア（ヴェーリア）、ファグタル（オッピオの一部）、ケルマルス（パラティーノの西側）、カエリウス（チェリオ）、キスピウスの7つです。

ローマの七丘

都市ローマの起源となったローマの七丘は、アウェンティヌス（アヴェンティーノ）、カピトリヌス（カンピドリオ）、カエリウス（チェリオ）、エスクイリヌス（エスクイリーノ）、パラティヌス（パラティーノ）、クイリナリス（クイリナーレ）、ウィミナリス（ヴィミナーレ）の7つです。

現代のローマ七丘

現代では、アウェンティヌス（アヴェンティーノ）、カピトリヌス（カンピドリオ）、パラティヌス（パラティーノ）、クイリナリス（クイリナーレ）、ホルトゥロルム（ピンチョ）、ヤニクルム（ジャニコロ）、オッピウス（オッピオ）の7つが挙げられます。このように、時代とともに「ローマの七丘」の認識は変化しています。

アクセス

ピンチョの丘へのアクセスは、ローマ地下鉄A線のスパーニャ駅またはバルベリーニ駅が便利です。




ピンチョの丘は、ローマの歴史、文化、自然を一度に楽しめる、訪れる価値のある場所です。ぜひ、その美しい景観と歴史的な雰囲気を堪能してください。

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