クシュティー

クシュティーの魅力と深い歴史

クシュティー（Kushti）は南アジアに根付いた伝統的な格闘技で、イラン、インド、パキスタン、バングラデシュで特に盛んです。この言葉はペルシャ語やヒンディー語で「レスリング」を意味しますが、特に地域に伝わる独自のスタイルの格闘技を指します。他の多くの武道と異なり、クシュティーは寝技を用いず、立ち技だけで競技が行われるため、インドの相撲とも呼ばれることがあります。別名「パハラワーニー」（Pahlwani）とも呼ばれ、日本では「コシティー」（Koshti）という表記も存在しています。2年ごとに行われる「パハラワーニーレスリングワールドカップ」では、世界中の選手たちが競い合います。

歴史的背景

クシュティーの歴史は非常に古く、11世紀には現在の形に近いスタイルが確立されていました。起源をたどると、紀元前5世紀頃のアーリア人の南下とともにペルシアの格闘技がインドに伝わり、地元の格闘技と融合したことが起源とされています。このように、クシュティーは歴史的に見ても多様な文化が交じり合った結果生まれた格闘技であり、ヒンドゥー文化とイラン文化との密接な関係を示しています。そのため、クシュティーを極めた熟練者は「ペールワン」（ペヘルワーン）と尊称され、地域の英雄となることが多いです。

トレーニングと道場

クシュティーのトレーニングは「アカーラー」（Akhara）と呼ばれる道場で行われることが一般的です。アカーラーは多くの場合、寺院に併設されており、怪力を司るハヌマーン神が祀られています。トレーニングでは、耕した砂を盛った柔らかい土俵が使われ、そこでは選手たちが力と技を競います。クシュティーのトレーニングメニューの一部には、ヒンズースクワットと呼ばれる運動が含まれ、これはこの競技特有の厳しい訓練の一環です。

有名な選手には、レスリングの金メダリストを輩出した者も多数存在し、現代のレスリングスタイルへも影響を与えています。特に、プロレス界の巨星たちであるタイガー・ジェット・シンやコシロ・バジリ（アイアン・シーク）もこのクシュティーの出身として知られています。

トレーニング器具

また、クシュティーのトレーニングに関して興味深い点は、トレーニング器具の使用法です。「クシュティー」と称されるこの単語は、日本のプロレス関連の文脈では特定のトレーニング器具を指すこともあります。この器具は「ミール」（meel）という農具から派生したもので、木製の棍棒のような形状をしています。握りの部分が細く、先端が太いこの器具は、振り回すことで握力や腕力を鍛えるために使用されます。

このミールを使用したトレーニングは、プロレス界においてもカール・ゴッチからアントニオ猪木に受け継がれ、新日本プロレスの道場でも採用されてきました。このように、クシュティーはただのスポーツではなく、その方法や道具を通じて伝統や文化が色濃く残る格闘技です。さらに、イランの伝統的ボディビルであるズルハネでも似た道具が存在し、地域間での共通点を証明しています。

結論

クシュティーはその歴史と文化の深さ、多様な技術、トレーニングメニューから、単なるスポーツを超え、南アジアの文化的なシンボルとも言える存在です。現代においても、伝統を守りつつ新たなスタイルを取り入れ、さらなる発展を遂げています。

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