クバーニ・コサック軍

クバーニ・コサック軍の概要

クバーニ・コサック軍は、1860年から1920年まで存在した軍事組織で、主にウクライナのクバーニ地方に拠点を置いていました。この軍隊は、黒海コサックとドン・コサックの両系統を受け継ぎ、カフカース地域に住む様々な民族から成り立っていました。ロシアの植民地政策の下で、その重要な役割を果たし、歴史に名を刻みました。

黒海衆とその役割

クバーニ・コサック軍の核となるのは、「黒海衆」として知られるコサックたちです。彼らのルーツは、ドニプロー川流域に住んでいたザポロージャ・コサックに遡ります。18世紀初頭、ザポロージャ・コサックはロシア帝国の保護を受けながら自治権を有していましたが、後にロシア政府からの圧迫を受け、自治権を失いました。その過程で、多くのコサックがオスマン帝国へと逃れ、新たな軍事集団を形成しました。エカチェリーナ2世によるコサックの本拠地占領は、彼らにとって厳しい試練でした。

1792年には、黒海衆がクバーニ地域に定住し、この地の防衛と開発を行うこととなります。1860年には、クバーニに住むウクライナ系コサックの人口が20万人に達し、地域文化に多大な影響を及ぼしました。彼らはウクライナ語を話し、従来の風習を守って生活していました。

防衛線衆の結成

二番目の構成要素は、「防衛線衆」と呼ばれるドン・コサックの一派です。彼らはロシアのピョートル1世に属し、早くから戦いに参加していましたが、いくつかの反ロシア運動に関与したため、厳しい弾圧を受けました。防衛線衆は、やがてカフカースに再編成され、1860年にはクバーニ・コサック軍へと組織が統合されました。

構成と組織

クバーニ・コサック軍は、主に黒海衆と防衛線衆からなり、その他にも「付加コサック」として知られる特殊部隊も存在しました。彼らは農業に従事しつつ、軍役の義務を果たす非課税階級として機能していました。軍の指揮は、選挙で選ばれるオタマン（大将）が担い、主な役割は地域の治安維持や公共事業などにも広がりました。1914年時点では、約130万人のコサックとその家族がクバーニに住んでいました。

歴史的背景と戦争参加

クバーニ・コサック軍は、数多くの戦争に参加し、名を馳せました。19世紀には黒海における露土戦争やナポレオン戦争に関与し、日露戦争では大規模な動員を行いました。第一次世界大戦では、クバーニ・コサック軍がさらに多くのコサックを動員し、戦地に派遣されました。

ロシア革命とその後

革命と帝国の崩壊は、クバーニ・コサック軍にも大きな影響を与えました。内部的には、黒海衆と防衛線衆の間で分断が生じ、政治的な動きが引き起こされました。1920年代には独立を目指す動きがあったものの、赤軍によりその活動は鎮圧され、最終的にクバーニ・コサック軍は消滅しました。

ソ連時代と現在の動き

クバーニ地域は、その後も共産党政権の影響下で厳しい状況が続きましたが、1990年にはコサック復帰運動が芽生え、地域の歴史や文化を再評価する動きが起こりました。今日では、クバーニ地域におけるコサックの伝統が再び息を吹き返し、地域社会における重要な要素となっています。

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