クマのバーニー

クマのバーニー：MGMが生んだ愛されキャラとその世界

バーニー・ベア。その名を知らないアニメファンは少ないだろう。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）社が生み出した、人気短編アニメシリーズの主人公である。本名はバーニー・ベアだが、日本語では「バーニー・ベア」や「熊のバーニー」など、複数の訳語が存在する。

ルドルフ・アイジングを始め、マイケル・ラーやディック・ランディーといったアニメーターたちが制作に携わった。MGMの花形アニメーター、テックス・アヴェリーが直接制作に関わった作品はないものの、ランディーの後期作品群はアヴェリーが監督業を一時休止していた時期に制作されたため、アヴェリーの制作チームが担当しており、アヴェリー作品と類似した作風が見られる。

バーニー・ベアのキャラクター性：憎めない間抜け者

バーニーは主人公でありながら、しばしばやられ役となるのんびり屋なクマである。普段は温厚で人当たりの良い表情をしているが、怒らせると豹変し、本物の熊のように凶暴な一面を見せる。銃を乱射したり、棍棒で敵を追いかけ回したりと、そのギャップが魅力の一つだ。

愛読書は参考書。何か企てるときは必ず参考書を持ち出し、あれこれと策を練るが、その策はいつも裏目に出る。新聞記事をきっかけに行動することもある。お人好しで騙されやすく、また欲深い面もあるものの、執着心が薄く、すぐに諦めてしまう。お節介で、相手を顧みずに強引に事を進めてしまうことも多い。ドルーピー作品に登場する間抜けなオオカミやブッチと同様、失敗がつきものなキャラクターと言えるだろう。

バーニーのキャラクターには、当時のアメリカ社会や国民性に対する皮肉が込められているという見方もある。

バーニーを取り巻く世界：個性豊かな動物たち

バーニーの周囲には、ビーバー、フクロネズミ、カラスなど、様々な動物たちが登場する。ほとんどがバーニーの敵役として描かれるが、トムとジェリーやドルーピー作品のような定番のキャラクターは存在しない。それぞれの動物の特性が巧みに表現されており、擬人化された行動も見られる。

あるキャラクターはバーニーのせいで迷惑をこうむるものの、巧みに彼を撃退する。別のキャラクターはバーニーの行動を妨害し、反撃を試みるバーニーを逆にやっつける。敵役が中心だが、バーニーを助けるキャラクターも存在する。

作品リスト：長く愛されるシリーズ

バーニー・ベアシリーズは、ルドルフ・アイジングによって1939年から制作が始まり、ジョージ・ゴードン、マイケル・ラー、プレストン・ブレアといった後続のアニメーターたちによって続けられた。ディック・ランディーによる1950年代の作品も存在する。代表的な作品には以下のものがある。

初期作品（ルドルフ・アイジング監督）
バーニーの冬ごもり (THE BEAR THAT COULDN'T SLEEP, 1939)
バーニーの鱒釣り (THE FISHING BEAR, 1940)
バーニーの金鉱探し (THE PROSPECTING BEAR, 1941)
バーニーのずっこけ兵隊 (THE ROOKIE BEAR, 1941)
バーニー戦闘機に挑戦 (THE FLYING BEAR, 1941)
ビーバーの敵討ち (THE BEAR AND THE BEAVERS, 1942)
バーニーの蜂蜜とり (WILD HONEY, 1942)
バーニーの家庭菜園 (BARNEY BEAR'S VICTORY GARDEN, 1942)
バーニーのキャンプ騒動 (BAH WILDERNESS, 1943)
バーニーとちゃっかりリス (THE UNINVITED PEST, 1943)
バーニーのはりきりガードマン (BEAR RAID WARDEN, 1944)
バーニーと白熊坊や (BARNEY BEAR'S POLAR PEST, 1944)
バーニーのさくらんぼ取り (THE UNWELCOME GUEST, 1945)
バーニーの小包騒動 (THE BEAR AND THE BEAN, 1948)
バーニーのうさぎ狩り (THE BEAR AND THE HARE, 1948)
海中探検 (GOGGLE FISHING BEAR, 1949)
後期作品（ディック・ランディー監督を含む）
かしこい子がも (LITTLE WISE QUACKER, 1952)
親切好き (BUSYBODY BEAR, 1952)
なんでもいただき (BARNEY'S HUNGRY COUSIN, 1953)
かかしに御用心 (COBS AND ROBBERS, 1953)
宝さがし (HEIR BEAR, 1953)
良い子のしつけ方 (WEE WILLIE WILDCAT, 1953)
めんこい子馬 (HALF-PINT PALOMINO, 1953)
どちらが賢いか (IMPOSSIBLE POSSUM, 1954)
只今静養中 (SLEEPY TIME SQUIRREL, 1954)
小鳥が好き (BIRD-BRAIN BIRD DOG, 1954)

日本での放送：世代を超えて愛される作品

日本ではTBS系列で放送された『トムとジェリー』の合間に、ドルーピー作品と共に放送されることが多かった。4代目三遊亭金馬や兼本新吾など、著名な声優が吹き替えを担当したことも、バーニーの人気を後押しした。カートゥーンネットワークでも不定期に放送されており、現在もなお、多くの人々に愛され続けている。

バーニー・ベアは、そのコミカルな行動と個性的なキャラクターで、長年にわたって人々を魅了してきた。失敗ばかりだが憎めないバーニーの姿は、これからも多くのファンを笑顔にし続けるだろう。

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