クラキンコ

クラキンコ：北海道三冠を制した伝説の牝馬

クラキンコは、日本のホッカイドウ競馬を代表する競走馬として知られています。その名を冠した「クラ」は冠名、「キン」は父馬クラキングオーの名前に由来し、「コ」は子を示す文字とされています。クラキンコは、父と母、そして自身と、2世代に渡って北海優駿を制覇するという偉業を達成したサラブレッドです。さらに、牝馬として史上初となる北海道三冠（北斗盃、北海優駿、王冠賞）の栄冠に輝き、ダートグレード競走でも素晴らしい成績を残しました。

誕生から2歳時：父クラキングオーの系譜

クラキンコの父であるクラキングオーは、2000年に北海優駿と王冠賞の二冠を制覇するなど、ホッカイドウ競馬で活躍した名馬でした。2003年のレース中に重傷を負い、予後不良と診断されるも奇跡的に生還。引退後は種牡馬として活躍し、クラキンコの母であるクラシャトルとの間にクラキンコが誕生しました。クラシャトルは、クラキングオーと同じく北海優駿など重賞5勝を挙げた名牝で、牧場の看板牝馬でした。

2歳となったクラキンコは、堂山芳則厩舎に入厩。デビュー戦はフレッシュチャレンジ（JRA認定新馬戦）で、能力検査のタイムが低く6番人気と低評価でしたが、2着に好成績を収めました。続くルーキーチャレンジ（JRA認定未勝利戦）とザール賞を圧勝し、能力の高さを証明しました。しかし、エーデルワイス賞では2着、赤松賞では12着と苦杯をなめる経験もしました。その後、大井の中村護厩舎に移籍しましたが、右前肢の故障により休養することとなりました。

3歳時：北海道三冠制覇

3歳時は、北海道三冠への挑戦を開始。大井の菜の花特別、たんぽぽ特別を経て、堂山厩舎に戻り、北斗盃を制覇しました。続く北海優駿、王冠賞も制し、史上4頭目、牝馬としては初の北海道三冠を達成しました。北海道三冠を制覇した馬の中では、3レース間の最大距離差が1400メートルと最も長く、その強さを示しました。三冠達成後もNOSAI日高特別を制覇し、古馬との対戦でも勝利をおさめました。しかし、道営記念では5着、名古屋グランプリでは8着と敗戦を経験。それでもこの年の活躍が認められ、ホッカイドウ競馬の年度代表馬賞を受賞しました。

4歳時以降：地方競馬での活躍と引退

4歳以降も、コスモバルク記念や星雲賞で勝利を収め、地方競馬のトップレベルで活躍を続けました。しかし、ブリーダーズゴールドカップや道営記念では思うような結果を残せず、徐々に成績は下降気味となります。5歳時、6歳時にも各地の重賞レースに出走しましたが、かつての輝きを取り戻すことはできませんでした。2012年の道営記念を最後に引退を発表し、繁殖牝馬としてのセカンドキャリアをスタートさせました。

繁殖牝馬として

引退後は、繁殖牝馬として活躍しています。最初の交配相手はキングズベストで、これは自身が勝利したレースの副賞として獲得した交配権です。クラキンコの父であるクラキングオーは、クラキンコを含め3頭の産駒しか残せませんでしたが、その子供達はホッカイドウ競馬で活躍しています。クラキンコの全弟クラグオーは2014年のステイヤーズカップでクラキングオーとの父子制覇を達成しています。

血統と背景

クラキンコの血統は、ホッカイドウ競馬に深く関わりのある一族に由来しています。祖母、父の祖母は共に倉見牧場の基幹牝馬で、それぞれの牝系で最も活躍した馬が両親となっています。小岩井農場の基礎輸入牝馬であるウェットセールを祖先に持ちますが、中央競馬での重賞勝ち馬は少ない血統です。クラキングオーはクラキンコ誕生から数年後に心不全で亡くなっています。クラキンコの母であるクラシャトルはホッカイドウ競馬だけでなく、南関東、笠松競馬場でも活躍した名牝です。

クラキンコは、華々しい競走生活と素晴らしい血統、そして引退後の繁殖牝馬としての活躍を通して、ホッカイドウ競馬の歴史に大きな足跡を残した競走馬です。その輝かしい功績は、これからも長く語り継がれていくことでしょう。

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