クリア民会

クリア民会：古代ローマにおける最古の民会

クリア民会（Comitia Curiata）は、古代ローマにおいて最も古いとされる民会の一つです。クリア会とも訳されるこの民会は、男たちの集まりを意味する「クリア」（co-viria）を単位として決議を行っていました。クリア民会は、ローマの歴史において重要な役割を果たし、王政時代から共和政時代にかけてその姿を変えていきました。

王政ローマ時代におけるクリア民会

王政ローマ時代には、クリア民会は新しい王の承認に関わる重要な役割を担っていました。クリア民会の決議（Lex curiata de imperio）によって王のインペリウム（指揮権）が承認され、新たな王への忠誠が誓われたと考えられています。この時代、クリア民会は王の正統性を保証する重要な機関でした。

共和政ローマ時代におけるクリア民会

共和政後期になると、クリア民会の権限は縮小していきました。しかし、高位政務官へのインペリウム付与という重要な役割は残っていました。30あるクリアそれぞれを代表するリクトルが投票を行い、形式的なものではあったものの、その重要性は完全になくなったわけではありませんでした。

紀元前54年の執政官であったアッピウス・クラウディウス・プルケルがクリア民会での決議を得られず、捏造しようとした事件も発生しており、このことからも、クリア民会が依然として一定の権威を持っていたことがわかります。クリア民会は、単にインペリウムを付与するだけでなく、選出された政務官に対して形式的な完全性を与える役割も担っていたという説もあります。

クリア民会の意義

クリア民会は、ローマの政治制度において長い歴史を持ち、その役割は時代とともに変化しました。王政時代には王の正統性を支え、共和政時代には政務官の権限を承認する役割を担いました。クリア民会は、ローマの政治制度の変遷を理解する上で不可欠な存在であり、その歴史的意義は大きいと言えるでしょう。

参考文献

原田俊彦『ローマ共和政初期立法史論』敬文堂、2002年。ISBN 4767001072。
ヘンリック・ムーリツェン、髙橋亮介・鷲田睦朗（訳）「（翻訳・解題）「民衆／民会の権力：ローマ政体への新しいアプローチ」」『パブリック・ヒストリー』第7巻、大阪大学西洋史学会、2010年、86-104頁。

関連項目

民会 (ローマ))
ケントゥリア民会（兵員会）
プレブス民会（平民会）'>プレブス民会（平民会）
トリブス民会（市民会）

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