クリスザブレイヴ

クリスザブレイヴ(Kris the Brave)は、1994年2月18日生まれの競走馬です。その競走生活は華々しい活躍と、度重なる故障による長期休養という、波乱に満ちたものでした。

デビューは1996年10月。新馬戦で圧勝すると、続く百日草特別も制し、将来を嘱望される存在となりました。この頃から、名種牡馬ノーザンテースト最後の期待の星という呼び名が定着していったのです。しかし、朝日杯3歳ステークスで15着と大敗、骨折が判明し、長期休養を余儀なくされます。

約1年後の復帰後も、再び脚部不安を発症。その後も度重なる故障に見舞われ、1998年と1999年にも長期休養を余儀なくされました。しかし、その度に復活を遂げ、1999年の復帰後は4連勝という素晴らしい成績を残します。中でもニューマーケットカップでは、中山競馬場芝2000mのレコードタイムを記録するなど、その潜在能力の高さを証明しました。

しかし、天皇賞（秋）で16着と大敗した後も、オープン特別を2勝、中山金杯で3着と活躍を続けます。しかし、中山記念で6着に終わった後、屈腱炎を発症し、3度目の長期休養を強いられます。

そして2001年8月、関屋記念で約1年半ぶりに復帰を果たします。8番人気と低評価でしたが、マグナーテンの2着と好走。続く京成杯オータムハンデキャップでも2着と好成績を収め、勢いに乗って臨んだ富士ステークスでは、マグナーテンやダイタクリーヴァらを抑え、ついに初重賞制覇を達成しました。この勝利は、父ノーザンテーストの20世代連続産駒重賞制覇という偉業達成にも繋がりました。また、同時にノーザンテースト産駒の平地重賞における最後の優勝となりました。

その後、マイルチャンピオンシップに出走したものの8着に終わり、左前脚の屈腱炎が再発。惜しまれつつも、競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。デビューから引退まで約6年の歳月を費やしましたが、そのうち4年は故障による休養に費やした計算になります。

引退後は、北海道早来町の社台スタリオンステーションで種牡馬となりました。しかし、思うような活躍馬を輩出することができず、2005年に種牡馬登録を抹消。その後、中華人民共和国へ輸出されました。種牡馬としての成績は、総種付け数26頭に対し、産駒は8頭と、受胎率は約30％と低迷しました。

クリスザブレイヴは、その短い競走生活において、類まれな才能と、それを阻む幾多の困難を経験した競走馬でした。数々の故障に苦しみながらも、持ち前の能力で幾度も復活を遂げ、最後に重賞競走を制した姿は、多くの競馬ファンに感動を与えました。彼の競走生活は、才能と努力、そして不運という複雑な要素が絡み合った、ドラマチックな物語だったと言えるでしょう。その物語は、競馬史に永遠に刻まれることでしょう。

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