クリスタル (ミール)

クリスタル (Кристалл)

クリスタルは、ソビエト連邦の宇宙ステーション「ミール」に接続された4番目のモジュールです。このモジュールは、77KST、TsM-T、または11F77Tとも呼ばれていました。クバント1およびクバント2と同様に、TKSモジュールを基に設計されており、当初はクバント3という名称で計画されていました。1990年5月31日にプロトンロケットによって打ち上げられ、同年6月10日にミールとの自動ドッキングに成功しました。

搭載設備

クリスタルには、様々な材料生成炉が搭載されており、これらはKrater5、Optizon1、Zona2、Zona3と呼ばれていました。さらに、バイオテクノロジー実験用の電気泳動ユニット「Aniur」も搭載されていました。これらの実験装置により、地上に持ち帰って分析できる100kgの生成物質を生産することが可能でした。

ドッキングノードには、地球資源観測用のプリローダ5カメラが設置されていました。また、天体観測や天体物理学研究のための観測装置も搭載され、クバント1の観測能力を補強する役割も担っていました。

クリスタルのソーラーパネルは、他のミールモジュールとは異なり、折りたたみ可能な設計でした。これにより、必要に応じて展開と収納が可能になりました。クリスタルのソーラーパネルの一つは1995年に取り外され、クバント1に移設されましたが、1997年11月に廃棄されています。

姿勢制御のため、クリスタルには6基のジャイロダインが搭載されており、ミール複合体全体の姿勢制御に貢献しました。クリスタルの制御システムは、ウクライナのハートロン社によって開発されました。

搭載機器一覧

Ainur電気泳動ユニット
Krater5、Optizon1、CSK-1/結晶半導体材料生成炉
Zona2/3材料生成炉
Buketガンマ線スペクトロメータ
Glazar2紫外線望遠鏡（宇宙線研究用）
Granar天体物理用分光器
Marinaガンマ線望遠鏡
Mariya磁力計
Priroda5地球資源観測カメラシステム（KFA-1000フィルムカメラ2台を含む）
Svet植物栽培ユニット

ブランとシャトル計画との関連

クリスタルの最も重要な特徴の一つは、ソ連の宇宙往還機「ブラン」とミールをドッキングさせるために設計された2台のAPAS-89アンドロジナス接続システムが搭載されていたことです。これらのドッキング機構は、一方が軸方向、もう一方が側面に設置されていました。しかし、ブラン計画は1993年に中止されたため、これらのドッキングポートは当初使用されませんでした。その後、シャトル・[[ミール計画]]で利用される可能性が検討されましたが、側面のAPASは結局一度も使用されることはありませんでした。

ミールのドッキングポートは、軸方向に一つ、そして側面に放射状に四つのモジュールを取り付けられるように設計されていました。クリスタルはミールの放射状の取り付け部に結合していたため、ドッキングポートはミールステーションの側面方向に位置することになりました。クリスタルの軸方向のポートは、スペースシャトルとのドッキングに備えて、ソユーズTM-16によって1993年にテストが行われ、シャトルと同型のドッキング機構に改造されました。

1995年5月26日、クリスタルはミールの－Y軸ポートから取り外され、ミールの軸方向である－X軸ポートに移動されました。さらに5月30日には、スペクトルモジュールの到達に備えて－Z軸ポートに移動されました。6月10日には、シャトルとのドッキングのために再び－X軸ポートに移動しました。1995年6月29日、アトランティス(STS-71)との間でミールとシャトル初のドッキングが行われました。その後、1995年7月17日にクリスタルは最終的に－Z軸ポートに結合されました。もしブラン計画が継続されていた場合、同様の作業がブランにも必要であったと考えられます。

次のシャトルドッキングミッションとなったSTS-74（ドッキングは1995年11月15日）では、アトランティスがミール・ドッキングモジュールを運び、クリスタルに取り付けました。これにより、太陽電池パネルとの干渉を避けることが可能となり、以後のシャトルドッキングミッションでは、クリスタルを移動させる必要がなくなりました。

関連情報

関連項目: ブラン計画
外部リンク:
Russian Space Web
Encyclopedia Astronautica
* Gunter's Space Page - information on Kristall

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