クリスチャン・ミハレス

クリスチャン・リカルド・ルシオ・ミハレス（Cristian Ricardo Lucio Mijares）は、1981年 10月2日にメキシコのドゥランゴ州ゴメスパラシオで生まれた元プロボクサーです。スーパーフライ級において、WBAスーパー、WBC、そしてIBFの主要3団体の世界王座を獲得した、メキシコを代表するチャンピオンの一人です。

右利きでありながらサウスポーの構えをとるコンバーテッドサウスポーで、彼のボクシングスタイルは堅固な防御と正確かつ高速な連打を軸としたアウトボクシングが特徴でした。一発の強打で相手を倒すタイプではありませんでしたが、切れ味鋭いコンビネーションと的確なヒットで相手をコントロールし、懐に入らせない術に長けていました。

初期キャリアから世界王座獲得

1997年8月20日にプロデビューを果たし、初戦を判定勝利で飾ります。キャリアを積み重ね、2003年3月12日には国内タイトルであるメキシコスーパーフライ級王座を獲得しました。この時の相手は後に世界王者となるトマス・ロハスでした。

世界挑戦のチャンスは2006年に訪れます。9月18日、横浜で元WBC世界スーパーフライ級王者の川嶋勝重選手とWBC世界スーパーフライ級暫定王座決定戦を行い、接戦の末に判定勝ちを収め、暫定王座を獲得します。同年12月には、徳山昌守選手の王座返上により、正規王座に昇格しました。

世界王座防衛と王座統一

WBC正規王者となったミハレスは、精力的に防衛戦を行います。2007年1月には川嶋勝重選手との再戦にTKOで勝利し、盤石な強さを見せつけました。同年はホルヘ・アルセ選手、菊井徹平選手、フランク・ゴルジュ選手といった強敵相手に立て続けに防衛を成功させ、その実力を世界に示しました。

特に印象的なのは、2008年5月17日に行われたWBA世界スーパーフライ級王者アレクサンデル・ムニョス選手との王座統一戦です。この試合に判定勝ちを収め、WBA王座（後にスーパー王座に認定）を獲得すると同時にWBC王座の7度目の防衛にも成功し、スーパーフライ級の第一人者としての地位を確立しました。同年8月にはチャッチャイ・サーサクン選手を相手にWBA王座の初防衛、WBC王座の8度目の防衛を果たしています。

王座陥落と新たな挑戦

しかし、栄光は長くは続きませんでした。2008年11月1日、IBF世界スーパーフライ級王者ビック・ダルチニアン選手との更なる王座統一戦に臨みますが、9回終了時にKO負けを喫し、保持していたWBA・WBC両王座から陥落しました。これがミハレスのキャリアにおける大きな転換点となります。

王座陥落後、ミハレスはバンタム級への階級アップを試みます。2009年にはネオマール・セルメニョ選手とWBA世界バンタム級暫定王座決定戦を争いますが、2度にわたって判定負けを喫し、2階級制覇はなりませんでした。この後、一時引退を表明しますが、すぐに撤回して現役復帰。

再び世界の頂点へ

再起後のミハレスは、再びスーパーフライ級に戻ります。2010年12月11日、IBF世界スーパーフライ級王者のファン・アルベルト・ロサス選手に挑戦し、判定勝ちで勝利。WBA、WBCに続き、IBFの世界王座を獲得し、再び世界の頂点に返り咲きました。IBF王座の初防衛に成功した後、バンタム級でのキャリア続行のため、同王座を返上します。

その後はスーパーバンタム級、フェザー級と階級を上げながらキャリアを重ねました。スーパーバンタム級では再び世界王座を目指し、ビクトル・テラサス選手やレオ・サンタ・クルス選手といった強豪と対戦しましたが、惜しくも勝利には至らず、2階級制覇は実現しませんでした。フェザー級転向後もWBCシルバー王座を獲得するなど活躍を続け、日本の川島翔平選手や、キャリア初期に対戦したトマス・ロハス選手との再戦にも勝利しています。キャリア終盤までリングに上がり続け、多階級でその卓越した技術を披露しました。

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