クリスティアン・アルミンク

クリスティアン・アルミンク（Christian Arming）は、1971年3月18日にオーストリアのウィーンで生まれた指揮者です。

経歴

ウィーン国立音楽大学で指揮を学び、著名な教授であるカール・エスターライヒャーやレオポルト・ハーガーに師事しました。1994年より本格的に指揮活動を開始し、ベルリン・ドイツ交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、ウィーン交響楽団、ウィーン放送交響楽団、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団、スイス・ロマンド管弦楽団、ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団、ベルギー国立管弦楽団、シンシナティ交響楽団など、ヨーロッパおよびアメリカの多くの主要オーケストラへの客演を重ね、国際的なキャリアを築いていきました。ザルツブルク音楽祭にも1997年と1999年に出演しています。

1996年、24歳で初めてチェコのヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した際、その才能を高く評価され、直ちに首席指揮者として迎えられました。このポストは2001/02シーズンまで務めました。その後、スイスのルツェルンへ活動拠点を移し、ルツェルン歌劇場の音楽監督およびルツェルン交響楽団の首席指揮者を兼任しました。

2003年9月には、日本の新日本フィルハーモニー交響楽団の音楽監督に就任しました。これは彼が32歳の時でした。新日本フィルでは2013年8月まで10年間にわたりその手腕を発揮し、特に意欲的なプログラミングは定期会員からの強い支持を集めました。2006年にはオラトリオ『火刑台上のジャンヌ・ダルク』の上演で、第3回三菱信託音楽賞の奨励賞を受賞しています。また、2011年からはベルギーのリエージュ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督も務め、このポストには2019年まで在任しました。

2024年からは、広島交響楽団の音楽監督に就任しています。

オペラ活動

アルミンクはオペラ指揮者としても欧米各地で幅広く活躍しています。1999年にはシンシナティでブリテンの『ねじの回転』を、トリエステのリリコ劇場でR.シュトラウスの『ばらの騎士』を指揮しました。その後も、ルツェルンでのプッチーニ『ラ・ボエーム』、ビゼー『カルメン』、モーツァルト『魔笛』、ヴェローナでのR.シュトラウス『サロメ』、『エレクトラ』、ストラスブール歌劇場でのボロディン『イーゴリ公』、フランクフルト歌劇場でのワーグナー『さまよえるオランダ人』など、数多くのオペラ公演で好評を博しています。

その他の活動

2003年のプラハの春音楽祭オープニング・コンサートでは、スメタナの連作交響詩『わが祖国』を指揮し、ラファエル・クーベリックに次ぐ史上2番目の若さでの出演として注目を集めました。2008年5月にも再び同音楽祭に招かれ、その演奏は高く評価されています。

近年もミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、シュターツカペレ・ドレスデン、シュターツカペレ・ヴァイマル、ウィーン交響楽団、カメラータ・ザルツブルク、シュトゥットガルト放送交響楽団、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、ヴァンクーヴァー交響楽団といった著名なオーケストラに客演を重ねています。

人物

アルミンクは、容姿に恵まれ、特に女性ファンが多いことでも知られています。音楽家を志したのは高校を卒業した後とのことです。父親は世界最大規模のクラシック・レコード会社であるドイツ・グラモフォンの社長を務めていました。

彼は小澤征爾との密接な関係を築いており、1992年から1998年にかけて、小澤が音楽監督を務めていたボストン交響楽団（タングルウッド音楽祭）や、自身が後に音楽監督となる新日本フィルの指揮台にも登壇しています。

新日本フィルの音楽監督在任中の2011年4月、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故の影響を懸念し、予定されていた来日を断念しました。これにより、新国立劇場で指揮する予定だったオペラ『ばらの騎士』の公演が急遽キャンセルされる事態となりました。この出来事により、新日本フィルとの関係には一時的な悪化が見られました。10年間という長期にわたり音楽監督を務めながらも、退任後は新日本フィルから名誉指揮者などの称号を授与されることもなく、客演指揮者として招かれることもありませんでした。両者の関係が修復され、アルミンクが再び新日本フィルの指揮台に立ったのは、音楽監督退任から9年後の2022年のことでした。

主なポスト歴
2001年 - 2004年：ルツェルン歌劇場音楽監督、ルツェルン交響楽団首席指揮者
2003年 - 2013年：新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督
2011年 - 2019年：リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督
2024年 - 現在：広島交響楽団音楽監督

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