クリス・ドールマン

クリス・ドールマン

クリス・ドールマンは1945年2月17日にオランダ、北ホラント州アムステルダムで生まれた柔道家、プロレスラー、そして総合格闘家です。リングスMEGA-BATTLE TOURNAMENT'92の王者として知られ、彼の技術は裸絞めやレッグロックを得意とし、また「赤鬼」という異名でも親しまれています。

来歴

彼の格闘技のキャリアは、ジョン・ブルミンによるトゥン・イェン道場への入門から始まります。アマチュア時代にはヨーロッパ柔道選手権で銀メダルを獲得し、さらにはロシア人以外で初めてサンボ世界選手権で金メダルを手にしました。このように、ドールマンは柔道とサンボの両方でヨーロッパ屈指の実力を持つ選手として名を上げました。

彼が初めて日本を訪れたのは1976年であり、その際にはアントニオ猪木との異種格闘技戦に臨むオランダの柔道王、ウィレム・ルスカのセコンドを務めました。この試合ではルスカが戦意を喪失したため、ドールマンがタオルを投げ入れる場面が見られました。

1981年にはアムステルダムでノールールの「パンクラチオン」大会を主催し、次第に格闘技イベントの先駆けとして注目を集めるようになります。1989年、ドールマンは前田日明と対戦し、さらにリングス旗揚げに向けて大きな協力をしました。彼は新日本プロレスからのオファーを断り、リングス・オランダを設立。選手としても活躍しながら、弟子や他の格闘家を育成し、リングスの成長に貢献しました。

特にドールマンは、オランダの格闘家たちの中でも親分的な存在感を持ち、彼と一緒の時は彼らもおとなしくしているほどでした。1995年にはリングス・オランダの初興行「Free Fight Gara」をアムステルダムで行い、前田と戦って勝利を収めました。その後、彼は引退を宣言し、日本での引退試合を行いました。50歳で正式に引退した後も、彼は引き続き格闘技の発展に寄与し、トム・ハーリックと共にドージョー・チャクリキ/パンクラチオン・ジムを運営しています。定期的にリングス名義で大会を催していることでも知られています。

オランダ格闘技界での功績

ドールマンがリングスを旗揚げした頃、オランダ政府は総合格闘技の拡大に対して消極的でした。格闘技イベントの開催が困難な状況の中、彼は政府と交渉し、様々な大会を開催できる基盤を作りました。その努力により、現在ではオランダにおいても多くの総合格闘技やキックボクシングの大会が行われています。

また、彼は指導者としても非常に有名で、数々の優れたオランダの格闘家を輩出しています。ディック・フライ、アリスター・オーフレイム、バス・ルッテン、ピーター・アーツ、ヴァレンタイン・オーフレイム、ギルバート・アイブル、ゲガール・ムサシなど、彼らはいずれも世界の舞台で活躍している選手です。

主な戦績

ドールマンの通算戦績は953戦947勝6敗という驚異的なものであり、リングスでの戦績は17戦中14勝3敗と非常に優れています。また、彼はこれまでに40のタイトルを獲得しています。

主なタイトル

• - グレコローマンレスリング

- ベネルクス選手権 優勝（1966年〜1969年）

• - 柔道

- ヨーロッパ柔道選手権 準優勝（1974年）
- ヨーロッパ柔道ユース選手権 優勝（1966年）
- オランダ柔道ユース選手権 優勝（1965年）

• - サンボ

- サンボ世界選手権 優勝（1985年）
- サンボ世界選手権 準優勝（1981年）
- ワールドゲームズ 優勝（1985年）
- サンボ・ワールドカップ 優勝（1969年）
- サンボ全米オープン選手権 優勝（1978年）

• - リングス

- リングスMEGA-BATTLE TOURNAMENT'92 優勝（1992年）

これらの業績からも、ドールマンが持つ格闘技界への影響と貢献が浮かび上がります。

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