クロコスミア (競走馬)

クロコスミア：気品と粘り強さを兼ね備えた名牝

2013年5月17日、北海道浦河町で誕生したクロコスミアは、日本の競走馬、そして繁殖牝馬として華々しいキャリアを歩みました。その馬名は「花の名」を意味し、気品ある精神を表す花言葉のように、彼女は気高く、そして力強い走りで数々のレースを彩りました。

デビューは2歳（2015年）の函館開催。398キロという小柄な体格ながら、8戦ものレースをこなし、その早熟さと丈夫さを示しました。3歳春までは勝浦正樹騎手が手綱を取りましたが、ローズステークスでは岩田康誠騎手が初騎乗。惜しくも2着となりましたが、その潜在能力の高さを示すレースでした。

4歳（2017年）には1000万下に降級するも、北海道で2勝を挙げてオープンに復帰。そして迎えた府中牝馬ステークスで、12度目の挑戦にして悲願の重賞初制覇を成し遂げます。スローペースのレースを制し、1番人気ヴィブロスの追撃をクビ差退けました。この勝利は、父ステイゴールドのJRA通算900勝目、そして生産者である小島牧場にとっても2009年以来の重賞勝利となりました。

続くエリザベス女王杯では9番人気と伏兵扱いでしたが、2着に粘り込む健闘を見せます。5歳（2018年）にはドバイターフへ遠征するなど国際舞台にも挑戦。帰国後もエリザベス女王杯で2年連続2着と、その実力を証明しました。香港ヴァーズにも挑戦しましたが、結果は10着でした。

6歳（2019年）も活躍は続き、ヴィクトリアマイルではレコード決着の僅かコンマ1秒差の3着と好走。そして、3年連続で挑んだエリザベス女王杯では、戸崎圭太騎手の負傷により藤岡佑介騎手に乗り替わりながらも、人気薄ながら2着と粘り込みました。このレースでは、スローペースを作り、最後まで諦めない強い走りで関係者を感動させました。そして、競走生活の最後を飾るレースとして有馬記念に出走。1万6424票ものファン投票を集めましたが、結果は16着でした。

2019年12月26日、競走馬登録を抹消し、ディアレストクラブで繁殖牝馬となりました。

クロコスミアの活躍は、その能力の高さと、それに伴う粘り強いレース運び、そして関係者たちの献身的なサポートがあってこそ成し遂げられたものです。小柄な体格でありながら、幾多の困難を乗り越え、数々のレースで記憶に残る走りを見せたクロコスミアは、多くの競馬ファンに長く記憶される名馬となるでしょう。

彼女の母デヴェロッペは2008年の菜の花賞を制し、桜花賞にも出走した実績を持つ名牝です。クロコスミアの血統背景も、その活躍を支える一因であったと言えるでしょう。

なお、クロコスミアは同一GI級競走で3年連続同一順位という珍しい記録を達成しています。これは、競走馬界においても非常に稀な快挙であり、彼女の類まれな能力と精神力を改めて物語るものと言えるでしょう。 この記録を持つ他の競走馬には、ナイスネイチャ（有馬記念3着）、ゴーカイ（中山大障害2着）、ナリタトップロード（天皇賞（春）3着）、ワンダーアキュート（ジャパンカップダート2着）、オメガパフューム（東京大賞典1着、JBCクラシック2着）、ディープボンド（天皇賞（春）2着）、グランブリッジ（JBCレディスクラシック2着）などが挙げられます。これらの馬たちと同様に、クロコスミアは競馬史に名を残す存在と言えるでしょう。

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