クロタル (ミサイル)

クロタル対空ミサイルシステム

クロタル（Crotale）はフランスのタレス社（旧トムソンCSF社）が開発した対空ミサイルシステムです。短射程で軽量なこのミサイルは、短距離防空や船舶搭載の防空システムとして広く利用されています。名称はフランス語の「ガラガラヘビ」または打楽器のクロタルに由来しており、その影響を受けたデザインや機能性が特徴です。

開発の背景

南アフリカ共和国がイギリスからブラッドハウンド地対空ミサイルの購入を断られた1964年、同国の防衛ニーズに応えるためトムソン・ヒューストン社に移動式および全天候型の低高度防空ミサイルシステムの開発を依頼しました。このプロジェクトは「カクタス」と名付けられ、南アフリカ政府が85％の資金を拠出し、残りはフランスが負担しました。1965年に試験が行われ、1971年には南アフリカに初めての装備が納入されて以降、1973年までに7個小隊のシステムが配備されました。

フランス空軍も1971年にこのシステムを採用し、1972年までに導入を完了しました。最終的には基地防空用として20個中隊の注文を確定させました。

システムの構成

クロタルのオリジナルシステムはオチキスP4Rという四輪駆動の装輪車両に搭載されており、発射装置は2～3両と、1両の捕捉装置で1個小隊を形成します。発射装置はKuバンドのモノパルスレーダーを搭載しており、最大で17キロの距離の目標を追尾可能です。特筆すべきは、目標の探知後たった6.5秒でミサイルを発射できることです。システムのアップデートが進むにつれ、その機能は向上していきました。

単発のR.440ミサイルは、指向性破片弾頭を有し、固体燃料ロケット推進を用いています。特に、最大速度は750メートル毎秒に達し、機動力が優れている点が注目されます。また、電子光学センサーの機能も向上しており、効率的かつ高精度な攻撃が可能です。

クロタルのバリエーション

クロタルシステムはその後も改良がなされ、国際的にも様々な国に導入されました。1975年にはサウジアラビア向けに自走式対空システムのシャヒーンが開発され、使用されるミサイルもクロタルのR.440を改良したものが用いられました。また、クロタルNGは最新世代のシステムとして、発射装置と捕捉装置を統合し、プラットフォームの多様性を向上させています。

特にクロタルNGは、フィンランド陸軍やオランダ空軍、フランス空軍にも採用され、戦場での柔軟性をさらなるものにしました。加えて、艦載型のクロタル・ナヴァルも開発されており、防衛システムの構成が多様化しています。これにより、陸上から海上までさまざまな戦術に応じた防空戦力が強化されています。

まとめ

クロタルは短距離の防空システムとして高い機動性を持ち、その運用は多岐にわたります。数十年にわたり改良され続けており、現代戦においても強力な防空手段として活躍しています。各国での役割を果たすことによって、クロタルの技術や知識は国際的にも評価され、さらなる発展が期待されています。

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