クロハラカラスザメ

クロハラカラスザメ (Etmopterus spinax)

クロハラカラスザメは、カラスザメ科に属するサメの一種であり、北東大西洋において特に一般的に見られる種です。このサメは、70mから2490mの深さに生息し、全長は約45cm程度です。体は頑丈で、上面は茶色、腹面は鮮やかな黒色を呈しており、その体形は長い吻と尾を持つ特徴があります。また、非常に小さい鰓裂といった身体的特徴も持っています。このサメの最大の特徴は、多数の発光器を持つことにあり、これを利用してカウンターイルミネーションや外敵からの防御、種内でのコミュニケーションを行います。

分布

このサメは、アイスランドやノルウェーから地中海、アゾレス諸島、カナリア諸島、さらにはカーボベルデやガボンに至るまで広範囲に生息しています。また、南アフリカのケープ州からも報告されており、主に大陸棚の外縁や大陸斜面の上部に見られます。サメは通常200mから500mの深さで観察されますが、深いところでは750mに達することもあります。最も浅いときは70m、最深では2490mまで報告されています。

形態

クロハラカラスザメは、頑丈で幅広い体と平べったい中程度に長い吻を持ちます。口には薄い滑らかな唇があり、上顎の歯は小さく尖っていて、下顎の歯は強く傾いて刃状の尖頭を有します。また、肩の上に二基の背鰭を持ち、特に第二背鰭は第一の倍の大きさとなっています。背面は褐色で、腹面へ向かうにつれて黒くなります。発光器は、3-4m先から視認可能で、体の特定の部分に散在しています。

生態

このサメは、特にクログチヤモリザメやマルバラユメザメと共に、北東大西洋において非常に豊富な深海のサメです。通常は単独で行動しますが、時には小さな群れを作ることもあります。地中海の調査によると、雄よりも雌の方が多く観察され、年齢とともにその差は拡大する傾向があります。少ないが、食べる物にはオキアミ、小型の魚、イカ、エビなどがあり、成長に伴って食性も多様化していきます。また、特定の発光パターンで異性を誘引する可能性もあり、繁殖には2-3年の周期があります。最大で複数の寄生虫が確認されており、寄生による影響も見られます。

環境保護

クロハラカラスザメは、近年、生息域での漁業活動によって多くが混獲されています。様々な海洋環境での捕獲が報告されており、商業的な価値はあまり高くありませんが、その生命を脅かされています。IUCNの保全状況は、北東大西洋において20%の個体数減少が報告されており、今回の動向が続くようであれば、準絶滅危惧に分類される可能性があります。

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