クンユワム郡

タイ北部、メーホンソーン県に位置するクンユワム郡（アムプー）は、自然豊かな山岳地帯に囲まれた地域です。

名称の由来

「クンユワム」という名は、シャン語の「クンヨム（กุ๋นยม）」に由来しています。「クンヨム」の「ヨム」はある植物の名前を指し、「クン」はこの文脈では「水源となる山」を意味します。この「ヨム」がタイ語に取り入れられて「ユワム」と読まれるようになり、郡内を流れる川の名前にもなりました。したがって、「クンユワム」という名称は、「ヨムの植物が茂る水源の山」あるいは「ユワム川の水源がある山」といった意味合いを持っています。

歴史

初期と発展

クンユワムは、1847年当時にはわずか20世帯ほどの小規模な村に過ぎませんでした。しかし、1866年にメーホンソーンから移住してきたチャーンカレーとプークン・トによってこの地域の開発が始まり、徐々に発展を遂げます。

ムアンへの昇格と国主

1874年、チエンマイの統治者であったインタウィチャヤーノン王は、クンユワム村を「ムアンクンユワム」へと昇格させました。この時、開発を主導したプークン・トは、「パヤー・カンタセーマーラーチャーヌラック」という名を与えられ、ムアンの国主に任命されました。ムアンクンユワムはチエンマイの朝貢国となりましたが、米を納める代わりに森林産品を貢納することが義務付けられていたと考えられています。1884年には、ムアンクンユワムの国主の地位はパヤー・パカートーンに移りました。

国主の一覧

クンユワムの歴史において、国主を務めた人物は以下の通りです。

パヤー・カンタセーマーラーチャーヌラック（プークン・ト、พญาขันธเสมาราชานุรักษ์ (ปู่ขุนโท๊ะ)）
パヤー・パカートーン（พญาพะก่าตอง）
パヤー・カーンチャーボーリハーン（พญาก้างจาบริหาร）
パヤー・ラッタナケート（พญารัตนเขต）
ターオ・ピブーン（ท้าวพิบูลย์）
ターオ・カムヌワイユワムキットプラチャー（ท้าวคำนวยยวมกิจประชา）

郡の設置

1910年、それまでムアンとして存続していた行政区分は廃止され、新たにクンユワム郡が設置されました。この郡の初代郡長には、クン・デートプラチャーラックが就任しました。一方、最後の国主であったターオ・カムヌワイユワムキットプラチャーは、行政組織の改編に伴い、タムボン・クンユワムのタムボン長へと職位が下がりました。

地理

クンユワム郡の中央部は、北から南へと流れるユワム川が縦断しています。郡の中心市街地は、このユワム川の上流部に位置しており、その東西および北側を険しい山岳地帯に囲まれています。地形的には、チエンマイ方面というよりも、むしろ西方のビルマ（ミャンマー）側に向かって開けている特徴があります。また、郡の北部にはスリン川が流れ、東から西へ向かってビルマ方面へと続いています。郡内には、豊かな自然景観を誇るナムトック・メースリン国立公園が広がっています。

交通

交通網としては、南北の幹線である国道108号線が郡を縦断しており、これにより北へはメーホンソーン方面、南へはメーサリエン方面へのアクセスが可能です。さらに、郡の中心部からは国道1263号線が東に向かって伸びており、メーチェム方面とを結んでいます。

経済

クンユワム郡の主要な産業は農業です。主にニンニクやダイズなどが栽培されており、これらが地域経済を支える重要な生産物となっています。

行政区分

クンユワム郡は、行政上、以下の6つのタムボン（ตำบล、郡の下位区分）に分けられています。さらに、各タムボンは合計45の村（ムーバーン）で構成されています。

自治体とタムボン行政体

郡内には一つの自治体（テーサバーン）が存在します。これはテーサバーンタムボン・クンユワムと呼ばれ、タムボン・クンユワムの一部を管轄しています。また、各タムボンにはそれぞれタムボン行政体（オンカーンボーリハーンスワンタムボン）が設置されており、地域の行政サービスを担っています。

タムボン一覧

クンユワム郡を構成する6つのタムボンは以下の通りです。

タムボン・クンユワム（ตำบลขุนยวม）
タムボン・メーガオ（ตำบลแม่เงา）
タムボン・ムアンポーン（ตำบลเมืองปอน）
タムボン・メーユワンノーイ（ตำบลแม่ยวมน้อย）
タムボン・メーキ（ตำบลแม่กิ๊）
タムボン・メーウーコー（ตำบลแม่อูคอ）

これらの区分に基づき、郡の行政が運営されています。

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