クーアヘッセン＝ヴァルデック福音主義教会

クーアヘッセン＝ヴァルデック福音主義教会（EKKW）

クーアヘッセン＝ヴァルデック福音主義教会（Evangelische Kirche von Kurhessen-Waldeck, EKKW）は、ドイツ福音主義教会（EKD）に加盟する、ドイツの20の福音主義州教会の一つです。公法上の社団であり、本部はヘッセン州のカッセルにあります。2020年12月現在、約767,000人の教会員と756の教会共同体を擁し、ルター派と改革派教会による合同教会として、福音主義合同教会（UEK）にも加盟しています。

カッセルのマルティンス教会は州教会監督が説教を行う首座教会であり、ホーフガイスマーのシェーンブルク城には福音主義アカデミーという研修施設があります。

管轄地域

EKKWの管轄地域は、ヘッセン州の北部と東部、そしてテューリンゲン州の飛び地であるシュマルカルデン地方です。これは、1866年まで存在したヘッセン選帝侯国（シュマルカルデン教会地区を含む）、1929年時点のプロイセン自由州ヘッセン＝ナッサウ県に組み込まれる前の選帝侯国領、ヴァルデック侯国に相当します。この地域は、ローマ・カトリック教会のフルダ司教区、パーダーボルン大司教区内のヴァルデック管轄区と重なります。

信仰告白に関して、カッセル周辺のニーダーヘッセン地域ではフランス改革派教会を含む改革派教会、マールブルク周辺のオーバーヘッセン地域ではルター派教会、ハーナウ地域では合同教会が多い傾向にあります。

歴史

EKKWは1934年に、ヘッセン＝カッセル福音主義州教会とヴァルデック福音主義州教会という2つの独立した州教会が合同して成立しました。

ヘッセン＝カッセル福音主義州教会

ヘッセン＝カッセル福音主義州教会は、ヘッセン選帝侯国の歴史と深く結びついています。1567年にヘッセン方伯領から分かれて成立し、フィリップ1世によってルター派の信仰告白が導入されました。しかし、モーリッツ方伯の時代にカッセル地区では改革派教会の信仰告白が導入され、マールブルク地区ではルター派信仰告白が維持されました。ハーナウ＝ミュンツェンベルク伯爵領の併合により、合同教会の信仰告白を奉じる地域も加わりました。1866年にヘッセン選帝侯国がプロイセン王国に併合されると、信仰告白に関する対立が激化しました。

1873年、カッセル、マールブルク、ハーナウの3つの領邦教会が統合され、教会の上位聖職者はプロイセンと同様に地区長、総地区長と呼ばれるようになりました。1924年には州教会規則が制定され、宗務局は州教会事務局となり、事務局長が最高責任者となりました。しかし、ハーナウのような合同教会信仰告白による教会共同体の一本化は実現せず、現在もルター派、改革派、合同派という教派名称で信仰告白を表現する教会共同体が存在します。

1934年6月12日、ヘッセン＝カッセル福音主義州教会はヴァルデック福音主義州教会を統合しました。

ヴァルデック福音主義州教会

ヴァルデック福音主義州教会は、ヴァルデック侯国の領邦教会でした。17世紀にピルモント伯領がヴァルデックに併合され、宗教改革時にルター派信仰告白が導入されましたが、3つの改革派教会共同体も存在していました。1821年にはルター派教会と改革派教会による教会合同が行われました。1867年にヴァルデック侯国がプロイセン王国に併合された後も、領邦教会の独立は維持されました。1921年には新しい教会規則を制定しましたが、1934年にナチス政権下でヘッセン＝カッセル福音主義州教会に併合されました。

1926年から1945年まで

1933年夏、ナチ党の教会内党派であるドイツ的キリスト者が勢力を増し、教会運営をナチ党組織に合致させようとしました。1934年6月、ヘッセン＝カッセル福音主義州教会総会はヴァルデック福音主義州教会を統合することを決定しました。この再編成された州教会はクーアヘッセン＝ヴァルディクと呼ばれるようになりました。1926年にはヘッセン州内の他の州教会との統合を目指すプランも存在しましたが、実現しませんでした。

1934年7月3日、旧ドイツ福音主義教会（DEK）は全ドイツの福音主義教会における全権委任措置導入を断念しました。その後、この地域においても告白教会が形成されました。

1945年以降

第二次世界大戦後、緊急総会が開催され、州教会監督職が新たに創設されました。クーアヘッセン＝ヴァルデック福音主義教会は、最初の州教会監督に告白教会に属していたアドルフ・ヴュステマンを選出しました。EKKWはドイツ福音主義教会（EKD）の結成を支援し、1948年に制定されたEKD教憲に賛成しました。1951年には最初の州教会讃美歌集を編集し導入し、1960年にはヘッセン州政府との間で政教協約を結びました。1961年末には女性の牧師任職を可能にし、1973年にはロイエンベルク合意に署名し、欧州福音主義教会共同体に加盟しました。

テューリンゲン地方のシュマルカルデン地域は1991年にクーアヘッセン＝ヴァルデック福音主義教会に属することになり、2018年には礼拝式において同性結婚への祝福を可能にする決定がなされました。

州教会の指導と運営

州教会のトップは監督であり、州教会総会から終身任期で選出されます。州教会総会は議会としての役割を果たし、78人の総会議員が属しています。州教会常議員会は12人のメンバーを選出し、州教会総会議長はプレゼスと呼ばれます。州教会総会は通常、年に2回開催され、教会規則の制定、予算の決定、教会内諸問題に関する最終決定などを行います。

州教会運営は、カッセルに置かれた州教会事務局が担い、神学、法律部門を含むコレギウムを置いています。地域には教会共同体が展開し、教会地区、教会管区を経て州教会が形成されています。クーアヘッセン＝ヴァルデック福音主義教会青年フォーラムは州教会の青少年組織として活動しています。

参考文献

Peter Gbiorczyk: „Miteinander und gegenüber“. Das Verhältnis von Landessynode und Bischof in der Ev. Kirche von Kurhessen-Waldeck. In: Hessisches Pfarrblatt 6/1995, S. 167–169.
Michael Hederich: Um die Freiheit der Kirche. Geschichte der Evangelischen Kirche von Kurhessen-Waldeck. Evangelischer Presseverband Kurhessen-Waldeck, Kassel 1972 (Monographia Hassiae 1, ISSN 0720-4671).
Rainer Hering, Jochen-Christoph Kaiser: Beiträge zur Kirchengeschichte. Evang. Medienverband, Kassel
Bd. 1: Kurhessen und Waldeck im 19. Jahrhundert. 2006, ISBN 3-89477-912-8;
Bd. 2: Kurhessen und Waldeck im 20. Jahrhundert. 2012, ISBN 978-3-89477-880-4.
Sebastian Parker: Die Marburger Konferenz. Fusionspläne und Zusammenarbeit hessischer evangelischer Landeskirchen im 20. Jahrhundert. Verlag der Hessische Kirchengeschichtlichen Vereinigung, Darmstadt u. a. 2008, ISBN 978-3-931849-28-3 (Quellen und Studien zur hessischen Kirchengeschichte 16; zugleich: Darmstadt, Techn. Hochsch., Magisterarbeit, 2004).
Karl Schilling: Der Zusammenschluss der Landeskirchen Waldeck und Hessen-Kassel. In: Waldeckischer Landeskalender. 2009 (2008), ZDB-ID 513652-0, S. 80–92.
Dieter Waßmann: Evangelische Pfarrer in Kurhessen und Waldeck von 1933 bis 1945. Evangelischer Medienverband Kassel, Kassel 2001, ISBN 3-89477-926-8 (Monographia Hassiae 24).

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