グリシャ型コルベット

グリシャ型コルベット（Grisha class corvette）

グリシャ型コルベットは、ソビエト連邦海軍が使用していた小型対潜艦の艦級であり、NATOによって「グリシャ」というコードネームが付けられています。正式名称は1124型小型対潜艦といい、計画名は「アリバトロース」です。1970年代から就役を始め、その後改良を重ねながら90隻以上が建造されました。これらの艦は現在でもロシア海軍や国境軍、さらにはウクライナ海軍及びリトアニア海軍でも多くが運用されている状況です。

来歴

その背景には、ソビエト海軍が沿岸対潜戦力を強化する必要があったことがあります。海軍は、沿海域を担当する小型駆潜艇と近海を担当する大型駆潜艇の二つの系列を設けていました。1950年代には大型駆潜艇のクロンシュタット級が主力でしたが、これらの艦艇は搭載できるソナーや対潜兵器が限られていたため、その能力には制約がありました。対する冷戦構造の下での原子力潜水艦の増加に伴い、より強力な沿岸対潜戦力の整備が求められたのです。

その結果、1960年代には204型小型対潜艦（ポチ型コルベット）が配備されました。ポチ型は新開発の対潜兵器を搭載し優れた対潜火力を持つも、防空力は限られたものでした。これを受けて、1970年代に入ると、より強力な個艦防空力を持つ小型対潜艦のニーズが高まり、本型の開発が始まります。1963年に設計がスタートし、1966年から建造が始まり、1967年から本格的に就役しました。

設計・装備

グリシャ型は、基準排水量800トン級の艦体を持ち、最大35ノットの速度を実現するために、ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンを組み合わせたCODAG機関が搭載されています。主なレーダーとしては、対空・対水上両方への対応が可能なMR-302「ループカ」が装備されており、その探知距離は空中目標に対し最大98キロ、水上目標には最大25キロです。また、艦には5キロヘルツのハル・ソナーや、VGS-2「オーカ-2」と呼ばれる可変深度ソナーも搭載されています。

グリシャ型の特徴的な装備の一つは、個艦防空ミサイルシステムである4K33「オサーM」です。これにより、敵の空中攻撃に対して強力な防御体制を持つことが可能となりました。装備される主砲は57mm連装速射砲であり、対潜戦闘にはRBU-6000対潜ロケット発射機や533mm魚雷発射管が用意されています。

運用

グリシャ型にはいくつかのサブクラスが存在し、運用されているミッションに応じて各モデルが発展してきました。グリシャ-I型は原型艦であり、1970から74年にかけて建造された12隻が存在し、1979年には運用を終了しました。グリシャ-II型はKGB向けの警備艦としての役割を担い、17隻が建造されました。その他にも、グリシャ-III型、IV型、V型などが存在し、各艦で様々な改良や実験が行われました。特に、グリシャ-V型は主砲をAK-176に換装し、近代化された艦として現在も海軍での運用が続いています。

この艦級は、運用国によって様々な任務を果たし続けており、その存在意義は今なお高いものとなっています。

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