グリーゼ581f

グリーゼ581f

グリーゼ581f（Gliese 581f、略称Gl 581f、GJ 581f）は、地球から約20光年離れた位置にある赤色矮星、グリーゼ581を公転するとされた太陽系外惑星の一つです。この恒星は、夜空でてんびん座の領域に観測されます。

この惑星の存在が初めて公にされたのは2010年9月29日です。当時の観測データに基づいて、グリーゼ581の周囲を巡る6番目の惑星として位置づけられました。

発見の経緯

グリーゼ581fの発見は、主に視線速度法という手法を用いて行われました。これは、惑星の重力が恒星をわずかに揺さぶる際に生じる恒星の視線速度の変化を捉える方法です。この観測には、ハワイにあるW・M・ケック天文台で取得されたデータと、チリのラ・シヤ天文台に設置された、高精度な視線速度測定が可能なHARPS（High Accuracy Radial velocity Planet Searcher）装置によるデータが統合されて利用されました。

この成果は、グリーゼ581系の他の惑星候補であるグリーゼ581gと共に、「アストロフィジカルジャーナル」という専門学術誌に論文として発表されました。

惑星系における特徴

グリーゼ581の周囲には、グリーゼ581fを含め、複数の惑星候補が発見されています。その中で、グリーゼ581fは公転軌道の半径が約0.758天文単位（AU）と算出されており、既知の惑星候補の中では最も外側を回っているとされています。これは、内側の惑星であるグリーゼ581e（約0.0282AU）、グリーゼ581b（約0.0406AU）、グリーゼ581c（約0.0721AU）、グリーゼ581g（約0.1460AU）、グリーゼ581d（約0.220AU）と比較すると、恒星から最も遠い位置にあたります。

推定された質量についても、グリーゼ581fは他の惑星候補に比べて比較的大きい値を示しています。その質量は約7.00地球質量（M⊕）と見積もられ、この惑星系内で最も質量が大きいグリーゼ581b（約15.8M⊕）に次ぐ大きさです。他の惑星候補の質量は、グリーゼ581dが約6.04M⊕、グリーゼ581cが約5.5M⊕、グリーゼ581gが約3.10M⊕、グリーゼ581eが約1.939M⊕とされています。

存在に関するその後の研究

グリーゼ581fの発見が発表された後、他の研究グループによる追跡観測や既存データの再解析が行われました。その結果、グリーゼ581f、そしてグリーゼ581gの存在については、懐疑的な見解が示されるようになりました。

特に、視線速度法で検出されたシグナルが、実際に惑星の存在を示すものなのか、それとも恒星活動（例えば黒点など）に起因するノイズや、データ解析上の問題によるものなのかについて、議論が深まりました。現在の多くの研究では、グリーゼ581f（およびグリーゼ581g）を示すとされるシグナルは、惑星の存在を示す確たる証拠ではない、あるいは存在しない可能性が高い、との指摘がなされています。

したがって、発見当時はグリーゼ581系における外縁部の惑星として注目されましたが、現在の天文学的な合意としては、その実在性は確立されていない状況にあります。

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