グリーゼ740

グリーゼ740（Gliese 740, Gl 740, GJ 740とも表記）は、太陽系からおよそ36光年離れた位置に存在する赤色矮星です。赤色矮星としては比較的質量や半径が大きく、そのサイズは太陽の約56%に相当すると考えられています。このような比較的大型の赤色矮星は、しばしば詳細な観測研究の対象となります。

この恒星は、20世紀初頭にはすでにその大きな固有運動が知られており、1911年には写真観測に基づいて年周視差が測定されていました。近年では、HADESやCARMENESのような、赤色矮星を対象とした視線速度法を用いた太陽系外惑星探査プロジェクトにおいて、主要な観測ターゲットの一つとして選定されています。これは、惑星が存在する場合の検出可能性が高いことなどが理由として考えられます。

グリーゼ740は、その彩層活動が二つの異なる周期で変動することが観測されています。一つは恒星自身の自転に伴う周期的な変化で、もう一つは太陽の活動周期に類似したおよそ5.6年の長期的な変動です。この恒星の自転周期は、観測によって36.3日や35.2±0.3日といった値が報告されており、約1ヶ月強であることがわかります。また、大規模な変光サーベイであるASASのデータからは、グリーゼ740が自転周期に同期して明るさをわずかに変える変光星であることが確認されており、その明るさの変動幅は約0.014等級（およそ1.3%）程度と記録されています。

2021年2月には、グリーゼ740の周囲を公転する太陽系外惑星が一つ発見されました。この惑星はグリーゼ740bと名付けられ、その質量などから地球より質量が大きい「スーパー・アース」に分類される可能性が高いとされています。この発見は、グリーゼ740が惑星系を持つ恒星であること、特に赤色矮星の周囲に地球型惑星が存在する可能性を示唆する重要な成果となりました。視線速度法によって発見されたこの惑星の詳細な軌道要素や物理的性質については、さらなる観測と研究が進められています。

グリーゼ740は、近距離にある比較的サイズの大きな赤色矮星であり、活発な彩層活動と変光性を示します。さらに、スーパー・アース候補の惑星を伴っていることから、近隣の惑星系を持つ恒星として、今後も詳細な研究が続けられると考えられます。特に、彩層活動が惑星検出に与える影響や、惑星の物理的性質の解明などが今後の焦点となるでしょう。

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