グリーンスローモビリティ

グリーンスローモビリティ（Green Slow Mobility）

グリーンスローモビリティ（通称：グリスロ、GSM）は、低速で走行する電気自動車を活用した公共交通サービス、およびその車両自体のことを指します。

概要

グリーンスローモビリティは、最高速度20km/h未満で走行する電動車両を使用します。車両のサイズは様々で、4人乗りの電動ゴルフカート程度のものから、20人乗り程度の小型電動バスまで存在します。既存の公共交通機関を補完する役割を担い、ラストワンマイルと呼ばれる1〜3km程度の短い区間を運行することが想定されています。

電動自動車であるため、走行時に二酸化炭素を排出せず、交通分野における低炭素化に貢献します。また、ガソリンスタンドのような燃料補給設備が不要であるというメリットもあります。低速で走行するため、比較的安全性が高く、通常の自動車に比べて安全装置を簡略化できるため、運転の担い手を広げることが期待されています。さらに、将来的には自動運転技術の導入も視野に入れられています。

グリーンスローモビリティは、主に交通量の少ない生活道路や、道幅が広く交通容量に余裕のある幹線道路での走行が想定されています。高齢化が進む過疎地においては、既存の公共交通機関へのアクセスを容易にするフィーダーバスとしての活用や、観光地においては、景観を楽しみながら移動できるアトラクション的な移動手段としての活用が期待されています。

運営形態としては、既存のバス事業やタクシー事業（10人乗り以下の車両の場合）としての運営、過疎地や高齢者など対象を限定した自家用有償旅客運送、あるいは無償のボランティア輸送などが考えられます。

起源

グリーンスローモビリティの起源は、石川県輪島市と群馬県の取り組みにあるとされています。

輪島市では、2010年頃に公共交通の衰退と観光客の周遊性の低迷という課題を抱えていました。そこで、ゴルフ好きの商工会議所会頭が、電動ゴルフカートを街中で走らせるというアイデアを思いつきました。その後、ゴルフカートメーカーであるヤマハ発動機や東京大学と連携し、自動運転技術の研究開発を進め、社会実装に至りました。

一方、群馬県では、群馬大学が2010年に低速電動バスのコンセプトを構築し、2013年にシンクトゥギャザーの協力を得て開発を進めました。群馬県桐生市の協力のもと実証実験が行われ、導入に至りました。

主なメーカーと製品

シンクトゥギャザー - eCOMシリーズ
ヤマハ発動機 - AR-04, AR-05, AR-07
タジマモーターコーポレーション - NAO, NAO2
EVモーターズ・ジャパン

関連項目

水平エレベーター
ネイバーフッド・エレクトリック・ビークル

外部リンク

* グリーンスローモビリティ - 国土交通省

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