グルクマ

グルクマ（Indian mackerel）について

グルクマ（学名: Rastrelliger kanagurta）は、スズキ目サバ科に属する海水魚です。インド太平洋の熱帯域に広く分布し、食用として重要な魚種です。日本では沖縄県を中心に「グルクマー」とも呼ばれています。

特徴

成魚は全長40cmほどで、体はやや側扁しています。マサバやゴマサバと比較すると小型で、体高が高く、ずんぐりとした体型をしています。体色は背中側が黄緑色で、黒い斑点列が縦方向に並んでいるのが特徴です。この模様は、他のサバ類とは異なる識別点となります。

分布

グルクマは、日本の南西諸島からメラネシア、オーストラリア北岸、アフリカ東岸まで、インド洋と西太平洋の熱帯海域に広く分布しています。また、スエズ運河を通じて地中海東部にも侵入し、分布域を拡大しています。沿岸域の表層で大群をなして遊泳する生態を持ちます。

生態

食性は肉食性で、動物プランクトンや小魚などを捕食します。プランクトンを濾過摂食するために、鰓には発達した鰓耙を持っています。群れで行動することが多く、効率的に餌を捕食しています。

利用

グルクマは、フィリピン、マレーシア、タイなどの東南アジア地域で重要な食用魚として扱われています。定置網、刺し網、巻き網など様々な漁法で漁獲され、その漁獲量は非常に多いです。群れで回遊する性質から、比較的容易に漁獲できることも、広く食用にされる理由の一つです。

日本では、主に南西諸島で夏に漁獲され、焼き魚、唐揚げ、刺身など、様々な料理で楽しまれています。フィリピンでは、サバ属の魚と混称で「ハサハサ」（hasa-hasa）と呼ばれています。マレーシアでは「イカン・クンブン」（ikan kembung）として知られ、唐揚げや煮魚のほか、フィッシュカレーや「クロポッ・レコル」（Keropok lekor）というソーセージ状の魚肉練り製品にも利用されます。タイでは、「プラーラーン」（ปลาลัง）や「プラートゥームーン」（ปลาทูโม่ง）とも呼ばれますが、サバ属の魚と混同して「プラートゥー」（ปลาทู）と総称されることもあります。

近縁種

グルクマの近縁種としては、以下のものが挙げられます。

Rastrelliger brachysoma (英名: Short mackerel)
インドシナ半島、大スンダ列島からソロモン諸島、フィジーにかけて分布しています。

Rastrelliger faughni (英名: Island mackerel)
インドから台湾、フィジーまで分布しています。

これらの近縁種もグルクマと同様に、食用として利用されることがあります。

参考文献

Fishbase - Rastrelliger kanagurta（英語）
藍澤正宏ほか『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』講談社 ISBN 4-06-211280-9
Ikan Kembungの種類

関連項目

サバ科
食用魚
東南アジアの食文化

もう一度検索