グレゴリー (DD-82)

USSグレゴリー（DD-82/APD-3）

USSグレゴリーは、アメリカ海軍の駆逐艦として、第一次世界大戦と第二次世界大戦で活躍しました。本艦はウィックス級駆逐艦の一隻であり、その名は米英戦争と南北戦争で功績を挙げたフランシス・グレゴリー少将に由来します。

艦歴

グレゴリーは1917年8月25日にマサチューセッツ州クインシーのフォアリバー造船所で起工され、1918年1月27日に進水、同年6月1日にアーサー・P・フェアフィールド中佐の指揮下で就役しました。

第一次世界大戦

就役後、グレゴリーはニューヨークからフランスのブレストへ向かう輸送船団を護衛し、大西洋での戦いに参加しました。1918年11月2日にはジブラルタルの哨戒任務に就き、終戦後は大西洋と地中海で哨戒活動を行うとともに、アドリア海経由での人員と物資の輸送を支援しました。1919年4月28日からは、西地中海地域での救援任務に従事し、戦艦アリゾナと共にイズミル、コンスタンティノープル、バトゥミへ人員と物資を輸送しました。任務後、グレゴリーは1919年6月13日にニューヨークへ帰投し、1922年7月7日に退役、保管されました。

第二次世界大戦

ファラガット級駆逐艦の登場により、アメリカ海軍は旧式化したウィックス級駆逐艦を高速輸送艦へ改装しました。グレゴリーもその一隻として改装され、1940年11月4日にAPD-3として再就役しました。僚艦のリトル、コルホーン、マッキーンと共に第12輸送群を編成し、東海岸で海兵隊との上陸演習を重ねました。

太平洋戦争開戦後の1942年1月27日、グレゴリーは真珠湾へ向け出港し、ハワイ水域で演習に明け暮れました。6月7日にはガダルカナル島の戦いに備え、南太平洋へ向かいました。7月31日、第62任務部隊の指揮下に入り、ガダルカナル島への上陸作戦に参加。8月7日、グレゴリーと僚艦はガダルカナル島への海兵隊上陸を支援し、その後も同海域での警戒や、エスピリトゥサント島からの人員と物資の輸送に従事しました。

8月29日、グレゴリーは輸送船団と共にガダルカナル島沖に到着し揚陸作業を開始。この情報を得た日本軍は駆逐艦に攻撃を指令しましたが、目標を見過ごし戦闘は発生しませんでした。9月4日、グレゴリーとリトルはサボ島への海兵隊強襲部隊の上陸作戦に参加しましたが、誤報であったため部隊を撤収させました。その後、ツラギ島へ帰投せずガダルカナル島北岸を哨戒することとなりました。

沈没

同じ9月4日、日本軍は駆逐艦6隻に兵員3000名を分乗させ、ショートランドを出撃させました。そのうち夕立、初雪、叢雲の3隻はルンガ岬へ向かい、ヘンダーソン飛行場への艦砲射撃を計画しました。22時58分、3隻の駆逐艦はグレゴリーとリトルを発見し砲撃を開始。グレゴリーはレーダーで4つの目標を探知していましたが、日本潜水艦と誤認していました。PBYカタリナが投下した照明弾がグレゴリーとリトルを照らし出し、日本軍に有利な状況を作ってしまいました。

グレゴリーは日本駆逐艦からの集中砲火を浴び、火災が発生。応戦するも多勢に無勢であり、2つのボイラーが破裂し沈没し始めました。艦長のハリー・F・バウアー少佐は総員退艦を命じ、自身も乗組員の救助活動中に消息不明となりました。グレゴリーは9月5日1時23分に沈没し、乗組員はガダルカナル島を目指して泳ぎました。日本駆逐艦は乗組員へ射撃を行いましたが、やがて現場を離れました。リトルもグレゴリーとほぼ同時に沈没しました。

太平洋艦隊司令長官チェスター・ニミッツ元帥は、グレゴリーとリトルの奮戦を讃え、両艦が作戦遂行に不可欠な任務を果たしたと評価しました。グレゴリーは1942年10月2日に除籍されました。

グレゴリーは第二次世界大戦の功績により、2個の従軍星章を受章しました。

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