グロビデンス族

グロビデンス族：硬い殻を砕くモササウルス

グロビデンス族（Globidensini）は、後期白亜紀に生息したモササウルス科モササウルス亜科に属する海生爬虫類のグループです。この族は、北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアといった広範囲の地域で化石が発見されており、グロビデンス、ハラナサウルス、カリノデンス、イグダマノサウルスといった属が含まれます。

特徴的な生態

グロビデンス族は、白亜紀末まで繁栄を続け、高度な特殊化を遂げました。特に、彼らの特徴は球状の歯にあります。このノブ状の歯は、硬い殻を持つ獲物を捕食するのに適しており、三畳紀に絶滅したプラコドゥス科（板歯目）やグリッピア（原始的な魚竜）がかつて占めていた生態的地位を、中生代の大部分において唯一占めていたと考えられています。

グロビデンス族の化石記録は非常に少なく、その生態はまだ謎に包まれています。その理由として、深海などの限られた生息域にいたため化石が残りにくかった可能性や、硬い獲物を捕食する特殊な生態のために個体数が拡大しなかった可能性などが考えられています。

形態

グロビデンス族は、中型のモササウルス科爬虫類であり、グロビデンスは全長6メートルに達しました。他のモササウルス科の多くが、滑りやすい魚類やイカを捕食するのに適した鋭い歯を持っているのに対し、グロビデンス族は丈夫で球状の歯を持つ点が大きく異なります。これは、アンモナイト、二枚貝、小型のウミガメといった硬い殻を持つ獲物を捕食するために進化したと考えられています。

分類

1967年にラッセルによってグロビデンス族が提唱された当初は、骨学的な情報が不足していたため適切な診断がなされていませんでした。しかし、その後の研究により、グロビデンスが他のモササウルス亜科とは明確に異なる特徴を持ち、クリダステスの派生種であると考えられたことから、独立した族として確立されました。現在では、モササウルス・ホフマニを含まず、グロビデンス・ダコテンシスを含む最も包括的な分類群として定義されています。

顎の構造

グロビデンスとプログナトドンは、強力な顎の筋肉を持つことで知られています。上側頭窓の長さと頭骨長の比率は、モササウルス科の咬合力を測る指標として用いられていますが、グロビデンス族はこの比率が非常に大きいことが特徴です。グロビデンス・ダコテンシスでは0.27、プログナトドン・オヴェルトニとプログナトドン・サトゥラトルでは0.22であるのに対し、モササウルス・ホフマニでは0.19となっています。このことから、グロビデンス族は、他のモササウルス科と比較して、非常に強力な噛む力を持っていたことがわかります。

グロビデンス族の分類群

グロビデンス族には、以下の属と種が含まれます。

カリノデンス
C. fraasi
C. belgicus
グロビデンス
G. alabamaensis
G. dakotensis
G. phosphaticus
G. timorensis
G. schurmanni
イグダマノサウルス
I. aegyptiacus
ハラナサウルス
* H. khuludae

グロビデンス族は、その特異な形態と生態から、モササウルス科の中でも特に興味深いグループです。彼らの化石記録の少なさは、まだ解明されていない多くの謎を秘めていることを示唆しています。

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