グロワ島

グロワ島：自然と歴史が織りなすフランスの秘境

グロワ島は、フランス北西部、モルビアン県に位置する美しい島です。長さ8キロ、幅3キロ、面積15平方キロメートルとコンパクトながらも、変化に富んだ景観と豊かな自然、そして独特の文化を持っています。

地理・自然

ロリアン沿岸からわずか数キロの沖合に浮かぶグロワ島へは、ロリアンからフェリーが日に数便運航しており、アクセスも比較的容易です。島の北岸には切り立った崖が連なり、荒々しい自然の力強さを感じさせます。一方、南岸には穏やかな入り江と美しい砂浜が広がり、海水浴や日光浴を楽しむ人々で賑わいます。

グロワ島は、多様な海鳥類の宝庫としても知られています。バードウォッチング愛好家にとっては、まさに楽園と言えるでしょう。また、地質学的な特徴も本土とは異なり、東岸と南岸では天然鉱物資源の発掘も行われています。島からは60種類以上の鉱物が発見されており、特に青い藍閃石、緑簾石、石榴石などが有名です。島の地質は主に結晶片岩で構成されています。

気候は温暖な西岸海洋性気候で、年間平均気温は約12℃。最も寒い12月と1月でも平均気温は7℃から8℃と比較的過ごしやすいのが特徴です。夏は涼しく、7月から8月の平均気温は17℃から18℃です。

島内にはヘビやキツネは生息していませんが、ヒキガエルを稀に見ることができます。古ノルド語でヒキガエルを意味する「Gro」が、グロワ（Groix）の語源になったという説もあります。ウサギは多く生息していましたが、近年、家庭で飼われるネコが急増したため、その数は激減しています。キジは一年を通して島内の至る所で見かけることができます。

歴史

グロワ島は歴史的に、ブルトン語コルヌアイユ方言を話す西部のプイシ（Piwisy）と、ブルトン語ヴァンヌ方言を話す東部のプリュムテゥル（Primiture）の2つの地区に分かれていました。しかし、島が2つの教区に分かれていたわけではなく、単一の行政体として扱われていたと考えられています。島民の信仰を支えていたのは、カンペルレにあるベネディクト会派のサント＝クロワ修道院の聖職者たちでした。

ヴァイキングたちは島を侵略し、その痕跡を今もなお残しています。その一つが、長さ14mのボートが収められた埋葬塚です。この墓からは、人骨や犬の骨の他、剣、盾、斧、槍、矢、ナイフなど、多くの武器が出土しています。

中世以降、グロワ島はエンヌボンを拠点とするケメネ＝エボ家を領主としていました。その後、ロアン家がその支配を引き継ぎ、フランス革命まで島を治めました。

文化

かつて島で話されていたブルトン語グロワ方言は、1914年以前には5500人以上の島民によって使用されていましたが、20世紀中に消滅してしまいました。現在では、その面影をわずかに残すのみとなっています。

グロワ島は、その美しい自然と独特の文化、そして豊かな歴史が織りなす魅力的な島です。フランスを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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