ケアシノスリ

ケアシノスリ：北国の猛禽

ケアシノスリ（学名: Buteo lagopus）は、タカ目タカ科ノスリ属に属する猛禽類です。その名前は、ギリシャ語で「クロライチョウ」を意味する言葉に由来しています。ユーラシア大陸と北アメリカの高緯度地域で繁殖し、冬になるとより南の地域へ渡り、日本にも冬鳥として飛来します。

形態

ケアシノスリの体長は、雄で約53～57cm、雌で約57.5～60.5cmと、雌の方がやや大きくなります。翼を広げると、雄で約129～137.5cm、雌で約124～143cmにもなります。全体的な体色は白っぽく、淡い褐色の斑点が散らばっています。頭部、胸部、尾羽の付け根の下側は、白っぽい黄土色をしています。翼を広げると、翼の先端や後縁、翼角、尾羽の先端などに黒褐色の斑紋が確認できます。ノスリよりもやや大きく、オオノスリよりもやや小さいサイズです。

分布と生息環境

ケアシノスリは、ユーラシア大陸と北アメリカの高緯度地域で繁殖します。冬になると、亜寒帯や温帯地域へと移動し越冬します。日本では、主に北日本に渡来しますが、個体数は多くありません。北海道から南西諸島まで、全国各地で記録されていますが、観察できる機会は少ないでしょう。越冬地では、開けた環境を好み、干拓地、農地、草原などに生息しています。

生態

ケアシノスリは、主に小型の哺乳類を捕食します。ハタネズミ、トガリネズミ、レミングなどの齧歯類が主な餌で、全体の80％以上を占めます。これ以外にも、小型の鳥類や昆虫なども食べます。ジリス、ノウサギ、イタチ、テンなども捕食対象となります。特徴的な行動として、ホバリングしながらネズミなどを狙う様子がよく観察されます。繁殖は卵生で、ツンドラや泥炭地の岩の上などに巣を作ります。一度に3～4個の卵を産みます。

亜種

ケアシノスリにはいくつかの亜種が知られています。代表的なものとして、以下の亜種が挙げられます。

B. l. lagopus
B. l. menzbieri
B. l. sanctijohannis （クロケアシノスリ）
B. l. kamtchatkensis （カムチャッカケアシノスリ）

保護状況

ケアシノスリの個体数や生息状況については、絶滅危惧種に指定されているわけではありませんが、生息地の環境変化や気候変動の影響を受ける可能性があります。継続的なモニタリングと保全対策が重要です。

参考文献

真木広造他　『日本の野鳥590』　平凡社
柴田佳秀 著、樋口広芳 編『街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑』日本文芸社、2019年5月、85頁。ISBN 978-4537216851。

さらに詳しく知りたい方へ

より詳細な情報については、専門書や学術論文、信頼できるウェブサイトなどを参照することをお勧めします。また、野鳥観察を通して、実際にケアシノスリを観察してみるのも良い方法です。ただし、観察する際は、野鳥の生息環境を保護し、彼らを脅かさないように注意することが大切です。

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