ケップ州

ケップ州の概要

ケップ州は、カンボジア南部に位置する州で、タイランド湾に面しています。州都はケップ市で、クメール語では「カエップ」に近い発音で呼ばれます。市名は、フランス語の「Le Cap（半島）」に由来するとも、現地の伝承に登場する魔術師が落とした「鞍（Kep Seh）」にちなむとも言われています。

地理

ケップ州は、ベトナム国境から約40kmに位置し、南はタイランド湾に面し、その他の三方をカンポット州に囲まれています。国道33号線でカンポット州やシアヌークビルと繋がっており、プノンペンからは国道3号線または2号線を経由してアクセスできます。また、Damnak Chang'aeur区内には駅も存在します。

ケップ州は面積は小さいものの、多様な自然景観を有しています。海に突き出した小さな半島には小高い丘があり、森林と砂浜が広がっています。内陸部には水田が広がっており、半島からはベトナムのフーコック島を望むことができます。

気候

ケップ州は、最高気温が摂氏30度、最低気温が摂氏23度と温暖な気候で、年間平均降水量は1,800mmです。

人口動態

2004年時点でのケップの人口は36,592人です。5歳未満の乳幼児人口は全体の約12%を占め、女性は人口の約50%を占めています。世帯数は8,402世帯で、1世帯当たりの構成員数は約4.4人です。生産年齢人口に対する非生産年齢人口の割合は79%です。

国際連合の報告によると、ケップの児童栄養状態は悪化傾向にありますが、2000年と2005年を比較すると、5歳未満の乳幼児の発育不良、低体重、消耗性疾患は大幅に改善されています。

歴史

ケップ半島は、その自然美から、古くから多くの人々を魅了してきました。フランス保護領時代には、フランスの指導層によって「Kep-sur-Mer」と名付けられ、リゾート地として開発されました。シアヌーク前国王も、タイランド湾を見晴らす場所に別荘を建てていました。

しかし、クメール・ルージュ時代には、ケップは放棄され、多くの建物が破壊されました。内戦終結後、ケップは再び観光地として注目され、近年では高級なゲストハウスやバンガローが建設され、リゾート地としての復興が進められています。

産業

ケップ州の主な産業は、農漁業です。耕作面積は約6,300haで、そのうち米作面積は約2,910haです。畜産業も行われており、牛、豚、家禽が飼育されています。漁獲量は約790トンです。

ケップ州への交通アクセスは比較的良好で、プノンペンまでの陸送料金の相場は1人あたり7,000リエルです。電力は、潜在的供給能力が250kVA、発電能力が200kVAであり、携帯電話は主要3事業者のサービスが利用可能です。

観光

ケップには、かつての華麗な時代の名残が残っており、海岸沿いには広い歩道や大きな彫像があります。ケップのビーチは、マングローブや黒い岩が多く、シアヌークビルのような白い砂浜は少ないですが、近くのTon Say島(Rabbit Island)には美しい砂浜があります。また、新鮮なシーフード（特にカニ）が安く手に入ります。

ケップは広大な国立公園観光の拠点でもあり、多くの観光客が訪れます。

主な観光スポット

Angkol 海岸: 静かで美しい海岸。
Kdam 市場: 地元の市場で、新鮮なシーフードや食材が手に入る。
Kep 海岸: 海岸沿いの散策が楽しめる。
Puor 島: ケップ沖にある島。
Ton Say 島 (Rabbit Island): 白い砂浜と遠浅の海水浴場がある。
Sar Sear 丘リゾート: 丘の上に位置し、博物館や仏教遺跡がある。
塩田: 海岸沿いに広がる塩田。
Samot Reangsey 寺: 歴史的な寺院。
動物園: さまざまな動物を観察できる。

ケップ沿岸には、ジュゴン、ウミガメ、ウミイルカなどの絶滅危惧種も生息しています。

行政

ケップ州は、2区、5郡、16村に分かれています。市庁舎はケップ区ケップ郡にあります。

区と郡の構成

Damnak Chang'aeur 区
Angkaol 郡
Ou Krasar 郡
Pong Tuek 郡
Kep (Kaeb) 区
Kep (Kaeb) 郡
Prey Thum 郡

まとめ

ケップ州は、歴史、自然、文化が融合した魅力的な場所です。カンボジアを訪れる際には、ぜひケップにも足を運んでみてください。

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