ケビン・サリバン

ケビン・サリバン：怪奇派ヒールとして名を馳せたプロレスラーの軌跡

ケビン・サリバン（Kevin Francis Sullivan、1949年10月26日 - 2024年8月9日）は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン出身のプロレスラーです。1970年代にベビーフェイスとしてデビューした後、1980年代から怪奇派ヒールへと転向し、「ザ・タスクマスター（The Taskmaster）」を名乗り、ヒール軍団の首領として、またマネージャーやブッカーとしても活躍しました。日本では「妖怪児」の異名で知られています。

若きベビーフェイスからヒールへの転身

1970年10月、ジョージア州アトランタでのスカンドル・アクバとのスタジオTVマッチでデビューしたサリバンは、各地を転戦。ジョニー・ウエストのリングネームでNWAガルフ・コースト地区にて、ケン・ルーカスとのコンビでガルフ・コースト・タッグ王座、USタッグ王座を獲得しました。その後、本名に戻し、NWAミッドアメリカ地区ではロバート・フラーとのタッグでNWA世界タッグ王座を獲得。1973年からはフロリダのCWFを主戦場とし、マイク・グラハムとのコンビでNWAフロリダ・タッグ王座を2度戴冠しました。1974年5月には全日本プロレスに初来日し、ジャンボ鶴田とのシングルマッチも行い、「南部の若獅子」と呼ばれました。

1975年10月からはWWWFに参戦し、イワン・プトスキーとのタッグなどで活躍。ブルーノ・サンマルチノのWWWFヘビー級王座にも挑戦しました。1977年までWWWFに出場後、1978年にはNWAセントラル・ステーツ地区でケン・ルーカスと再びコンビを組み、NWA世界タッグ王座を獲得。南部ではサウスイースタン・チャンピオンシップ・レスリングにおいて、ルーカスとのコンビでNWAサウスイースタン・タッグ王座を獲得しました。1980年にはジョージア・チャンピオンシップ・レスリングを主戦場に、トニー・アトラスとのコンビでNWAジョージア・タッグ王座を、シングルではNWAジョージア・ジュニアヘビー級王座を獲得しました。

怪奇派ヒール「ザ・タスクマスター」の誕生

1980年末、サリバンはジョージア地区でヒールに転向。スティーブ・カーン、スティーブ・オルソノスキーからNWAナショナルTV王座を奪取。1982年8月にはフロリダのCWFに復帰し、ダスティ・ローデスらとの抗争を開始。1983年からはペイントレスラーに変身し、アーミー・オブ・ダークネスを率いて、ローデスやブラックジャック・マリガンと抗争を展開しました。

その後も各地でタイトルを獲得し、1992年1月にはFMWに参戦。ザ・シークの参謀役として日本のマットに登場しました。その後はW★INGプロモーションにも度々来日し、レザーフェイスら怪奇派の親玉として活躍しました。同時期、アメリカでは初期のECWでタズマニアックと怪奇派コンビを組み、ECWタッグ王座を2度獲得しています。

1994年よりWCWに復帰。カクタス・ジャックとのタッグでWCW世界タッグ王座を獲得。その後、ザ・ブッチャーらとスリー・フェイシズ・オブ・フィアーを結成し、ハルク・ホーガンとの抗争を開始。ダンジョン・オブ・ドゥームを率い、ザ・タスクマスターとして、ホーガン、スティングらとの抗争を指揮しました。

WCWではブッカーも兼任していましたが、ブライアン・ピルマンとの確執、妻ウーマンとクリス・ベノワの不倫など、私生活でも多くの問題を抱えました。1997年4月には新日本プロレスの東京ドーム大会に来日し、ベノワとの因縁マッチを行いました。

その後

2001年のWCW崩壊後は、TNA、ジャガロ・チャンピオンシップ・レスリングなどに登場。2014年にはNWA殿堂入りを果たしました。2024年5月12日にフロリダ州で事故に巻き込まれ、合併症により8月9日に死去。74歳でした。

得意技はダイビング・フット・スタンプ。この技はW★ING参戦時、伊藤薫から直伝されたものです。

ケビン・サリバンは、ベビーフェイスからヒールへの転身、怪奇派ギミックの確立、ブッカーとしての手腕など、プロレス界に大きな足跡を残しました。

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