ザ・シーク

ザ・シーク：アラビアの怪人、デトロイトの帝王

エドワード・ジョージ・ファーハット、リングネーム「ザ・シーク」として知られるこのレジェンドは、1926年6月9日、ミシガン州ランシングにレバノン系アメリカ人の家庭に生まれました。10人兄弟の1人として育ち、学生時代はアメリカンフットボールに打ち込みました。17歳で陸軍に入隊、第二次世界大戦に従軍するなど、波乱に満ちた青年時代を過ごしました。

除隊後、彼はモンタナ州ビュートの銅山で採鉱夫として働いた後、プロモーターのバート・ルビーに見出され、1950年、プロレスラーとしてデビュー。当初は「ザ・シーク・オブ・アラビア」として、中西部、北東部、テキサスなどを転戦しました。ルー・テーズらそうそうたるレスラーたちと対戦し、キャリアを重ねていきます。

その後、リングネームを「ザ・シーク」に簡略化。独自のスタイルを確立し、蛇、侍女、火炎攻撃といったギミックを駆使した狂乱のヒールとして、圧倒的な存在感を示しました。1960年代には、セントラル・ステーツ版NWA USヘビー級王座、テキサス西部版NWA北米ヘビー級王座など、数々のタイトルを獲得。特に、1964年にデトロイト地区のプロレス興行権を買い取り、NWAビッグタイム・レスリングを設立したことは、彼のキャリアにおける大きな転換点となりました。

デトロイトを拠点に、プロモーターとして成功を収めたシークは、NWA USヘビー級王座（デトロイト版）を16回獲得するなど、選手として、そしてプロモーターとして、デトロイトのプロレス界を長年に渡って牽引しました。彼の活躍はデトロイトのみに留まりませんでした。カナダ、ロサンゼルス、そして日本など、世界各地で活躍の場を広げ、インターナショナル・[[ヘビー級王座]]（モントリオール版）を3回獲得するなど、数々のタイトルを獲得。アンドレ・ザ・ジャイアントとのテキサス・デスマッチや、ブルーノ・サンマルチノとのWWWF世界ヘビー級王座を巡る死闘など、数々の名勝負を繰り広げました。

1970年代には、WWWFでも活躍。サンマルチノやアントニオ・ロッカらと激しい抗争を繰り広げ、3カ月連続でサンマルチノに挑戦するなど、その強さはアメリカ全土に知れ渡りました。しかし、1980年代に入ると、デトロイトの景気悪化などの影響でNWAビッグタイム・レスリングは活動を停止。フリーランサーとして各地を転戦することになります。

日本のプロレス界においても、シークは大きな足跡を残しました。1972年に日本プロレスに初参戦。坂口征二とUNヘビー級王座を賭けての死闘を繰り広げ、王座を奪取するも、翌日に奪還されてしまいました。全[[日本プロレス]]ではジャイアント馬場とPWF世界ヘビー級王座を争い、新[[日本プロレス]]ではアントニオ猪木とランバージャック・デスマッチを敢行。全[[日本プロレス]]ではアブドーラ・ザ・ブッチャーとタッグを組み、「地上最凶悪コンビ」としてファンクスと激突。昭和プロレス史に残る名勝負を数多く生み出しました。FMWにも参戦し、大仁田厚との抗争は、日本のプロレスファンに衝撃を与えました。

1990年代には、ECWやWCWにも登場。甥のサブゥーのマネージャーを務めるなど、現役を退いてからもプロレス界に貢献し続けました。晩年は、ハードコア・レスリングのオリジネーターの1人として再評価され、2007年にはWWE殿堂入りを果たしました。2003年1月18日、76歳で死去。彼の死はアブドーラ・ザ・ブッチャーによって日本のファンに伝えられ、多くのプロレスファンに深い悲しみを与えました。

ザ・シークは、その卓越したプロレス技術、強烈なキャラクター、そしてプロモーターとしての才能によって、プロレス界に不滅の功績を残したスーパースターでした。彼の残したレガシーは、現在も多くのプロレスラーたちに受け継がれ、語り継がれています。彼の繰り出したキャメルクラッチ、チョーククロー、そして火炎攻撃は、プロレス史に刻まれた象徴的な技として、これからも語り継がれることでしょう。

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