ケプラー1229

ケプラー1229星系

ケプラー1229は、地球からおよそ870光年（約270パーセク）離れた、はくちょう座の方向に見られる赤色矮星です。この恒星の周囲では、2016年に太陽系外惑星ケプラー1229bが発見されています。この惑星は「スーパー・アース」と呼ばれる地球より大きなサイズを持ち、さらに特筆すべき点として、主星からの適切な距離に位置する「ハビタブルゾーン」内を公転している可能性が高いと考えられています。

発見と命名の経緯

ケプラー1229は、NASAのケプラー宇宙望遠鏡による観測以前から、天体カタログに記録されていました。初期には2MASS J19495680+4659481やKIC 10027247といった名称で呼ばれていましたが、ケプラーによるトランジット（惑星が恒星の手前を通過することによる減光）の可能性が検出されたことで、KOI-2418（Kepler object of interest）の番号が付与されました。

ケプラーミッションは、恒星の光のわずかな減光を周期的に捉える「トランジット法」を用いて惑星候補を探査しました。減光現象は惑星の通過によって説明されますが、他の天文現象の可能性も考慮し、当初は「惑星候補」として扱われました。

その後のデータ解析と発見論文の承認を経て、この天体にはケプラー1229という正式名称が与えられました。これは、ケプラー宇宙望遠鏡が周囲に惑星を確認した恒星に用いられる一般的な命名規則に従ったものです。この名称は、恒星およびその惑星系全体を指す際に広く使われています。

ケプラーミッションが確認した惑星候補には、恒星名に続き「.01」のような枝番が付与されます。複数の候補がある場合は、公転周期の短い順に枝番が振られます。ケプラー1229星系では、公転周期約86.829日の候補が一つだけ見つかりました。惑星自体には、その星系で最初に見つかったことを示す「b」という接尾辞が付けられます。恒星に近い、あるいは最初に見つかった惑星から順にb, c, d...と命名されるため、ケプラー1229星系で現在確認されている惑星はケプラー1229bのみとなります。恒星名であるケプラー1229は、ケプラー望遠鏡によって惑星が確認・カタログ化された1229番目の恒星であることに由来します。

恒星ケプラー1229の特性

ケプラー1229は赤色矮星であり、太陽に比べて質量やサイズが小さいのが特徴です。質量は太陽の約54%、半径は約51%と推定されています。表面温度は約3784ケルビンと、太陽の約5778ケルビンよりもかなり低温です。年齢はおよそ37.2億年と見積もられており、太陽の約46億年と比較してやや若いです。

金属量はやや少なく、[Fe/H]は約-0.06です。これは、太陽に含まれる鉄などの重元素の量が約87%であることを意味します。光度も太陽の約4.8%と非常に低いです。

地球から見た際の見かけの等級は15.474等と暗く、肉眼で見ることはできません。観測には望遠鏡が必要です。

惑星 ケプラー1229b

ケプラー1229星系で唯一確認されている惑星、ケプラー1229bは、主星の手前を通過する「トランジット惑星」です。地球からの視点に対して軌道面が非常に近い角度（1度未満）であるため、このトランジット現象が観測可能です。トランジット観測により、惑星の公転周期や主星との相対的な大きさを直接的に測定することができます。

ケプラー1229bは、地球の半径のおよそ1.4倍を持つスーパー・アースです。その組成は、おそらく岩石質であると考えられています。この惑星の最も重要な特徴は、主星ケプラー1229のハビタブルゾーン内に位置していることです。このゾーン内では、条件が整えば惑星の表面に液体の水が存在できる可能性があります。

惑星が主星から受けるエネルギー量（恒星フラックス）、惑星のサイズ、そして予測される表面温度といった点において、ケプラー1229bは、かつて生命存在の可能性が議論された太陽系外惑星ケプラー62fと類似性が見られます。これは、今後の探査において興味深いターゲットとなりうることを示唆しています。

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