ケロウナ
カナダのブリティッシュコロンビア州南部、オカナガン湖畔に位置するケロウナは、風光明媚な景観と比較的温和な気候が魅力の都市です。2021年時点で14万4576人の人口を抱え、都市圏人口は約22万人に達します。これは州都ビクトリアを上回り、バンクーバーに次いで州内第3位の規模となります。近年はカナダ国内でも特に急速な発展を遂げており、多くのカナダ人が「老後に最も住みたい町」として挙げるほど人気を集めています。
ケロウナの歴史は、1859年にフランス人宣教師であるチャールズ・M・パンドシー神父がこの地に到達したことから始まります。当時「砂の湾」を意味する「L'anse au sable」と呼ばれていたこの場所に、彼は初のヨーロッパ系居住者として足を踏み入れました。その後、1905年5月4日に都市として正式に創設されました。地名の「ケロウナ」は、先住民の言葉で「ハイイログマ」を意味するとされています。
市域は南北に細長く、広大なオカナガン湖の東側に広がっています。都市の中心部は湖の東岸に位置しており、湖を挟んだ対岸にはウェストケロウナがあります。これら両岸は、BC州道97号線の一部を構成する5車線のウィリアム・R・ベネット橋によって結ばれており、この橋はオカナガン湖を横断する唯一の橋です。州最大の都市バンクーバーからは、東へ直線距離で約275km離れており、高速道路を利用した場合は約400km、所要時間は概ね4時間程度です。
ケロウナはカナダ全体で見ると、年間を通じて比較的乾燥しており、穏やかな気候が特徴です。一般的には湿潤大陸性気候（Dfb）に分類されますが、市域の南部ではステップ気候（BSk）の性質も見られます。ロッキー山脈やコロンビア山脈、そしてオカナガン湖に囲まれた地形のため、冬はカナダの他の地域と比較して寒さが和らぐ傾向があります。しかし、北極からの強い寒気が流れ込むと気温は急激に低下し、氷点下25℃を下回ることもあります。過去には1968年12月30日に観測史上最低となる-36.1℃を記録しています。このような極端な低温日が存在する点で、バンクーバーのような沿岸部よりも冬の厳しさは増します。一方で、晴天日が多く風も弱いため、体感的な寒さはそれほど厳しく感じられないことが、多くのカナダ人がケロウナを温暖だと感じる理由の一つです。近年では冬期の温暖化が進んでおり、1月の平均気温は過去の長期平均値と比較して2.0℃上昇し、-2.5℃となっています。
夏の7月は平均最高気温が27.9℃に達し、日照時間が長いため日中の気温が35℃を超える日も少なくありません。2021年6月29日には観測史上最高の45.7℃を記録しています。ただし、真夏でも夜間には気温が10度近くまで下がる日もあり、湿度も低いため比較的過ごしやすいのが特徴です。年間の降水量は約386.9mmと少なく、年間降雪量は約89.0cmです。乾燥した気候のため山火事のリスクが高く、2003年には大規模な山火事により27,000人が避難する事態となりました。ケロウナはカナダの中でも特に風が穏やかな地域であり、風速5km/h以下の日が年間平均363日にも及びます。
市内の公共交通はケロウナ地域交通システムによって運営されています。スコットランドのファーストグループ社が委託運行を担っており、運営資金はケロウナ市やセントラルオカナガン地域、レイクカントリー、そしてBCトランジットからの出資によって支えられています。
市街地中心部から北へ約10kmの場所にケロウナ国際空港（YLW）があります。カルガリー、エドモントン、トロント、バンクーバー、ビクトリアといったカナダ国内主要都市に加え、ラスベガスやホノルル、シアトルなどへの定期直行便が運航しています。季節によっては、メキシコやヨーロッパへのチャーター便も利用できます。空港から市内中心部への市営バスアクセスは、23番または90番バスでブリティッシュコロンビア大学まで行き、97番バスに乗り換える必要がありますが、運行頻度が限られるため、夜間や休日は私営のシャトルバスやタクシーの利用が必要となる場合があります。
市域を東西に州道97号線が貫き、ラットランド地区からは州道33号線が南東方向に分岐しています。オカナガン湖を挟んで西側に位置するウェストケロウナとは、前述のウィリアム・R・ベネット橋で結ばれています。市中心部を通過する州道97号線の交通混雑緩和のため、中心部からブリティッシュコロンビア大学を結ぶバイパス道路の建設計画が進められています。バンクーバーからケロウナへの主要なルートは、トランスカナダハイウェイ1号線から州道5号線（コキハラ高速道路）、そして州道97C号線（オカナガンコネクター）を経由するもので、所要時間は約4時間です。このルートの一部である州道5号線や97C号線は標高の高い地域を通過するため、特に冬季（10月頃から）は降雪による悪天候のため通行止めとなることが多く、その際はカムループスを経由する迂回ルートを取る必要があります。
壮大なオカナガン湖と周囲に広がる多数の果樹園に囲まれたケロウナは、カナダ有数の人気観光都市です。特に夏季にはカナダ国内外から多くの観光客が訪れ、湖畔では湖水浴や多彩なウォータースポーツを楽しむ人々で賑わいます。また、ケロウナ周辺地域には数多くのゴルフ場やワイナリーが存在し、重要な観光資源となっています。さらに、市内から車で2時間圏内には、大規模なスキーリゾートであるビッグホワイト（Big White）とシルバースター（Silver Star）があり、冬季には多くのスキー客で賑わいます。
ブリティッシュコロンビア大学 (UBC)
オカナガンカレッジ (OC)
ジャスティス・インスティテート・オブ・ブリティッシュコロンビア (JIBC)
スプロットショーコミュニティーカレッジ (SSCC)
The Centre for Arts and Technology
オカナガン地域図書館によって運営される公立図書館が市内に3箇所あります。
ケロウナ図書館
ウエストケロウナ図書館
ラットランド図書館
ミッション図書館
春日井市（日本・愛知県） - 1981年2月5日に姉妹都市提携が結ばれました。
フェーンダム（オランダ・フローニンゲン州）
春日井市とは長年にわたり活発な交流が続けられており、毎年夏には春日井市の公立中学校生によるケロウナ訪問団が派遣されています。親善訪問団の派遣や受け入れ、青年大使の交流などを通じて市民レベルの交流が深められています。春日井市内にはケロウナ通りが存在し、ケロウナの象徴であるセイルのレプリカが設置されています。一方、ケロウナには「春日井ガーデン」という日本庭園が整備されています。
ケロウナには、日本の文化を継承する和太鼓グループ「Yamabiko Taiko」があります。このグループはブリティッシュコロンビア州全域で積極的に演奏活動を行い、様々なボランティア演奏も行っています。
ケルシー・セルワ（フリースタイルスキー選手）
ジャニス・ジョード（女優、ミュージシャン、作家）
ポール・ヨハンセン（俳優） - スポケーン生まれ、ケロウナ育ち。
* テイラー・キッチュ（俳優、モデル）
歴史
ケロウナの歴史は、1859年にフランス人宣教師であるチャールズ・M・パンドシー神父がこの地に到達したことから始まります。当時「砂の湾」を意味する「L'anse au sable」と呼ばれていたこの場所に、彼は初のヨーロッパ系居住者として足を踏み入れました。その後、1905年5月4日に都市として正式に創設されました。地名の「ケロウナ」は、先住民の言葉で「ハイイログマ」を意味するとされています。
地理
市域は南北に細長く、広大なオカナガン湖の東側に広がっています。都市の中心部は湖の東岸に位置しており、湖を挟んだ対岸にはウェストケロウナがあります。これら両岸は、BC州道97号線の一部を構成する5車線のウィリアム・R・ベネット橋によって結ばれており、この橋はオカナガン湖を横断する唯一の橋です。州最大の都市バンクーバーからは、東へ直線距離で約275km離れており、高速道路を利用した場合は約400km、所要時間は概ね4時間程度です。
気候
ケロウナはカナダ全体で見ると、年間を通じて比較的乾燥しており、穏やかな気候が特徴です。一般的には湿潤大陸性気候（Dfb）に分類されますが、市域の南部ではステップ気候（BSk）の性質も見られます。ロッキー山脈やコロンビア山脈、そしてオカナガン湖に囲まれた地形のため、冬はカナダの他の地域と比較して寒さが和らぐ傾向があります。しかし、北極からの強い寒気が流れ込むと気温は急激に低下し、氷点下25℃を下回ることもあります。過去には1968年12月30日に観測史上最低となる-36.1℃を記録しています。このような極端な低温日が存在する点で、バンクーバーのような沿岸部よりも冬の厳しさは増します。一方で、晴天日が多く風も弱いため、体感的な寒さはそれほど厳しく感じられないことが、多くのカナダ人がケロウナを温暖だと感じる理由の一つです。近年では冬期の温暖化が進んでおり、1月の平均気温は過去の長期平均値と比較して2.0℃上昇し、-2.5℃となっています。
夏の7月は平均最高気温が27.9℃に達し、日照時間が長いため日中の気温が35℃を超える日も少なくありません。2021年6月29日には観測史上最高の45.7℃を記録しています。ただし、真夏でも夜間には気温が10度近くまで下がる日もあり、湿度も低いため比較的過ごしやすいのが特徴です。年間の降水量は約386.9mmと少なく、年間降雪量は約89.0cmです。乾燥した気候のため山火事のリスクが高く、2003年には大規模な山火事により27,000人が避難する事態となりました。ケロウナはカナダの中でも特に風が穏やかな地域であり、風速5km/h以下の日が年間平均363日にも及びます。
交通
公共交通
市内の公共交通はケロウナ地域交通システムによって運営されています。スコットランドのファーストグループ社が委託運行を担っており、運営資金はケロウナ市やセントラルオカナガン地域、レイクカントリー、そしてBCトランジットからの出資によって支えられています。
空港
市街地中心部から北へ約10kmの場所にケロウナ国際空港（YLW）があります。カルガリー、エドモントン、トロント、バンクーバー、ビクトリアといったカナダ国内主要都市に加え、ラスベガスやホノルル、シアトルなどへの定期直行便が運航しています。季節によっては、メキシコやヨーロッパへのチャーター便も利用できます。空港から市内中心部への市営バスアクセスは、23番または90番バスでブリティッシュコロンビア大学まで行き、97番バスに乗り換える必要がありますが、運行頻度が限られるため、夜間や休日は私営のシャトルバスやタクシーの利用が必要となる場合があります。
道路網
市域を東西に州道97号線が貫き、ラットランド地区からは州道33号線が南東方向に分岐しています。オカナガン湖を挟んで西側に位置するウェストケロウナとは、前述のウィリアム・R・ベネット橋で結ばれています。市中心部を通過する州道97号線の交通混雑緩和のため、中心部からブリティッシュコロンビア大学を結ぶバイパス道路の建設計画が進められています。バンクーバーからケロウナへの主要なルートは、トランスカナダハイウェイ1号線から州道5号線（コキハラ高速道路）、そして州道97C号線（オカナガンコネクター）を経由するもので、所要時間は約4時間です。このルートの一部である州道5号線や97C号線は標高の高い地域を通過するため、特に冬季（10月頃から）は降雪による悪天候のため通行止めとなることが多く、その際はカムループスを経由する迂回ルートを取る必要があります。
観光
壮大なオカナガン湖と周囲に広がる多数の果樹園に囲まれたケロウナは、カナダ有数の人気観光都市です。特に夏季にはカナダ国内外から多くの観光客が訪れ、湖畔では湖水浴や多彩なウォータースポーツを楽しむ人々で賑わいます。また、ケロウナ周辺地域には数多くのゴルフ場やワイナリーが存在し、重要な観光資源となっています。さらに、市内から車で2時間圏内には、大規模なスキーリゾートであるビッグホワイト（Big White）とシルバースター（Silver Star）があり、冬季には多くのスキー客で賑わいます。
教育
高等教育機関
ブリティッシュコロンビア大学 (UBC)
オカナガンカレッジ (OC)
ジャスティス・インスティテート・オブ・ブリティッシュコロンビア (JIBC)
スプロットショーコミュニティーカレッジ (SSCC)
The Centre for Arts and Technology
図書館
オカナガン地域図書館によって運営される公立図書館が市内に3箇所あります。
ケロウナ図書館
ウエストケロウナ図書館
ラットランド図書館
ミッション図書館
姉妹都市・友好都市
春日井市（日本・愛知県） - 1981年2月5日に姉妹都市提携が結ばれました。
フェーンダム（オランダ・フローニンゲン州）
春日井市とは長年にわたり活発な交流が続けられており、毎年夏には春日井市の公立中学校生によるケロウナ訪問団が派遣されています。親善訪問団の派遣や受け入れ、青年大使の交流などを通じて市民レベルの交流が深められています。春日井市内にはケロウナ通りが存在し、ケロウナの象徴であるセイルのレプリカが設置されています。一方、ケロウナには「春日井ガーデン」という日本庭園が整備されています。
文化
ケロウナには、日本の文化を継承する和太鼓グループ「Yamabiko Taiko」があります。このグループはブリティッシュコロンビア州全域で積極的に演奏活動を行い、様々なボランティア演奏も行っています。
出身有名人
ケルシー・セルワ（フリースタイルスキー選手）
ジャニス・ジョード（女優、ミュージシャン、作家）
ポール・ヨハンセン（俳優） - スポケーン生まれ、ケロウナ育ち。
* テイラー・キッチュ（俳優、モデル）
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