ケン・カミニティ

ケネス・カミニティ：栄光と悲劇が交錯したメジャーリーガー

ケネス・ジーン・カミニティは、1963年4月21日にカリフォルニア州で生まれました。右投両打の内野手として、メジャーリーグで活躍しました。特に三塁手としての守備力は高く評価され、ゴールドグラブ賞を3度受賞しています。

プロ入りとアストロズ時代

サンノゼ州立大学を経て、1987年にヒューストン・アストロズに入団。2年間のマイナーリーグ生活を経て、同年7月にメジャーデビューを果たしました。1989年にはレギュラーに定着し、1994年までアストロズでプレーしました。アストロズ時代は、最多でも18本塁打、80打点と、突出した成績を残すことはありませんでした。しかし、1994年にはオールスターゲームに初出場し、この頃から打球の飛距離が伸びるようになりました。

パドレスへの移籍とMVP獲得

1995年、カミニティは大型トレードでサンディエゴ・パドレスに移籍。この移籍が彼のキャリアを大きく変えました。パドレス1年目から打率.302、26本塁打、94打点と大活躍。守備でもゴールドグラブ賞を受賞するなど、攻守にわたってチームに貢献しました。同僚のトニー・グウィンに匹敵する打者として認められましたが、ペドロ・マルティネスの完全試合を達成させる引き立て役になったこともありました。

1996年には、打率.326、40本塁打、130打点という驚異的な成績を記録し、ナショナルリーグMVPを満票で獲得。シルバースラッガー賞も受賞し、オールスターゲームでも本塁打を放ちました。また、この年には1試合で両打席本塁打を4度も記録するという離れ業も達成しています。

晩年と引退

1998年にはパドレスのワールドシリーズ進出に貢献。シーズン終了後、FAで古巣アストロズに復帰しますが、故障の影響で出場機会は激減。その後、2001年にはテキサス・レンジャーズ、アトランタ・ブレーブスと渡り歩き、同年限りで現役を引退しました。

慈善活動

現役時代は慈善活動にも熱心で、チームの「65バラの会」の会長を務め、自身の名を冠したゴルフ・トーナメントを開催し、病院に寄付を行っていました。

薬物乱用と悲劇的な死

カミニティは、現役時代からアルコール依存症や薬物乱用といった問題を抱えていました。引退後には、MVPを獲得した1996年を含む数年間、ステロイド剤を使用していたことを告白。この告白は、メジャーリーグ全体を巻き込む薬物問題に発展しました。2001年にはコカイン不法所持で逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けています。2004年にもコカインの陽性反応を示し、執行猶予が停止されましたが、釈放されたわずか5日後、心臓発作で急逝しました。41歳という若さでした。死後、コカインとアヘンによるオーバードースが死因と発表されました。ステロイドの後遺症により、ホルモンバランスが崩れ、体が女性化していたことも判明しました。

カミニティの功績と教訓

ケネス・カミニティは、その圧倒的な打撃力と堅実な守備で、1990年代のメジャーリーグを代表する選手の一人でした。しかし、薬物問題に苦しみ、悲劇的な最期を迎えたことは、野球界に大きな教訓を残しました。

主な受賞歴

シーズンMVP：1回（1996年）
シルバースラッガー賞：1回（1996年）
ゴールドグラブ賞：3回（1995年-1997年）
MLBオールスターゲーム選出：3回（1994年、1996年、1997年）
プレイヤー・オブ・ザ・マンス：2回（1996年8月、9月）

背番号

11（1987年 - 1999年、2000年 - 2001年）
21（1995年 - 1998年）

外部リンク

選手の通算成績と情報 Baseball-Reference
Fangraphs
The Baseball Cube
* Baseball-Reference (Register)

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