ケン・モッカ

ケネス・モッカ：日米を繋ぐ野球人

ケネス・エドワード・モッカ（Kenneth Edward "Ken" Macha , 1950年9月29日 - ）は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州出身の元プロ野球選手であり、監督としても活躍した人物です。メジャーリーグと日本プロ野球、双方の舞台でその名を刻みました。

生い立ちとMLBでのキャリア

ピッツバーグ大学から1972年のMLBドラフト6巡目でピッツバーグ・パイレーツに指名され、プロの道を歩み始めます。1974年9月14日にメジャーデビューを果たし、その後モントリオール・エクスポズ、トロント・ブルージェイズでもプレーしました。ちなみに、アメリカ野球殿堂入りを果たしているハル・ニューハウザーは「おじ」にあたります。

中日ドラゴンズでの活躍

1981年12月11日、モッカは中日ドラゴンズに入団。登録名は実際の発音に近い「マッカ」ではなく、本人の同意のもと「モッカ」となりました。中日在籍4年間は主に3番・三塁手として活躍し、打率3割を3回記録。田尾安志、平野謙、谷沢健一、大島康徳、宇野勝、中尾孝義らと共に「強竜打線」の中核を担いました。応援歌は「ミッキーマウス・マーチ」が使用され、ファンに親しまれました。

1982年には中日ドラゴンズの優勝に大きく貢献。シーズン終盤の読売ジャイアンツとの激しい優勝争いの中、「最後まで絶対にあきらめるな」とチームを鼓舞し続けました。1984年にはキャリアハイとなる31本塁打、93打点を記録しています。

1985年、打撃は好調を維持しましたが、年齢による守備力の低下、そしてチームの若手育成方針により、戦力外通告を受け入れます。引退試合となった9月19日の対巨人戦では、最終打席で西本聖の前に三ゴロに倒れましたが、試合後にはチームメイトから胴上げされ、ユニークなプレゼントを贈られました。

指導者としてのキャリア

帰国後、1987年に古巣エクスポズのコーチに就任。その後カリフォルニア・エンゼルス、ボストン・レッドソックス傘下のマイナーリーグで監督を歴任します。1999年、オークランド・アスレチックスのベンチコーチとなり、2003年には監督に昇格。2006年にはアメリカンリーグ西地区で優勝を果たしましたが、リーグチャンピオンシップシリーズで敗退し、解任されました。

2009年からはミルウォーキー・ブルワーズの監督を務めましたが、2010年シーズン終了後に解任。現在は地元の公立大学で野球部のコーチを務めています。

幻の凱旋

2003年と2006年には監督として日本で采配を振るう機会がありましたが、いずれも不運に見舞われました。2003年はシアトル・マリナーズとのMLB開幕戦がイラク情勢の悪化で中止。2006年の日米野球ではMLBチームの監督に内定していたものの、解任されたため、レッドソックスの監督が代役を務めました。

晩年

2021年6月12日には、BS1の『ワースポ×MLB』に出演し、日本でのプレー時代を振り返りました。日本球界への愛情を垣間見れるインタビューでした。

モッカは選手として、監督として、日米の野球界に大きな足跡を残した人物です。その情熱とリーダーシップは、多くの人々に感銘を与え続けています。

もう一度検索