ゲレー・エルネー

ゲレー・エルネー：ハンガリー共産党の指導者

ゲレー・エルネー（1898年7月8日 - 1980年3月12日）は、第二次世界大戦後のハンガリーにおける共産党の指導者であり、1956年のハンガリー動乱の際に短期間、党第一書記を務めた人物です。彼の政治的生涯は、激動の20世紀のハンガリー近現代史を反映しています。

生い立ちと初期の活動

ゲレーはユダヤ人の家庭に生まれ、若い頃から共産主義運動に関わりました。ハンガリー共産党の初期メンバーとして、クン・ベーラの共産政権に参加。しかし、政権が短命に終わると、ウィーンへ逃れました。帰国後、逮捕され15年の禁固刑を宣告されますが、1924年にソ連へ引き渡されました。

ソ連での活動とスペイン内戦

ソ連での20年間、ゲレーは内務人民委員部（NKVD）のエージェントとして活動しました。コミンテルンを通じてフランスやベルギーの共産主義組織と連携し、スペイン内戦では国際旅団の政治委員、後にNKVDの全権代表として活動しました。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦中、ハンガリー共産党国外局員となり、戦後は最高国家会議の議員を務めました。1945年のハンガリー総選挙では、共産党は少数しか議席を獲得できませんでしたが、ソ連軍の支援のもと、主要ポストを獲得する連立政権を樹立しました。1947年には共産党が主導権を握り、ラーコシ・マーチャーシュが実質的な国家元首となります。ゲレーは党中央委員会政治局で経済・保安問題を担当し、ライク・ラースローに対する粛清を主導しました。

ラーコシ政権の崩壊とゲレーの台頭

フルシチョフによるスターリン批判後、ラーコシ政権は基盤を失い、1956年7月にラーコシは辞任。その後任として、スターリン主義者のゲレーが党第一書記に指名されました。

ハンガリー動乱と失脚

しかし、ゲレーの強硬な姿勢は国民の不満を高め、ハンガリー動乱を引き起こす一因となりました。動乱発生から2日後の1956年10月25日、ゲレーはソ連政治局によって辞任させられ、カーダール・ヤーノシュと交代しました。その後、ソ連へ亡命し、1961年に帰国。

帰国後は大弾圧の責任を問われ党から除名され、翻訳家としてひっそりと余生を送りました。ゲレー・エルネーの生涯は、20世紀のハンガリーにおける共産主義の興隆と没落を象徴する出来事として、歴史に刻まれています。

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