ゲロ (オストマルク)

ゲロ1世（Gero I., 900年 - 965年5月20日）は、10世紀のドイツ、ザクセン地方のオストマルク辺境伯でした。その功績から「マグヌス」（偉大なる者）とも呼ばれました。

生涯

ゲロ1世は、東フランク王ハインリヒ1世の軍事指導者であった北チューリングガウ伯ティートマールの子として生まれました。937年、兄ジークフリートが死去すると、メルゼブルク伯の地位を継承します。この時、オットー1世の異母兄タンクマールもメルゼブルクを期待していましたが、オットー1世はゲロ1世を任命したため、タンクマールは反乱を起こし戦死しました。

ゲロ1世はオストマルク辺境伯に任じられ、その領土は拡大の一途をたどりました。その領域は「ゲロ辺境伯領」と呼ばれるほどでした。ヘルマン・ビルングと共に、10世紀中葉におけるドイツの東方進出を主導しました。しかし、彼の支配はソルブ人に対する苛烈なものであり、その圧政はザクセン貴族たちの不満を募らせました。941年には、ロートリンゲン公位を剥奪された王弟ハインリヒ1世が、ゲロ1世の支配に不満を持つザクセン貴族らと共謀し、オットー1世暗殺を企てましたが、事前に鎮圧され、関係者は処刑されました。

息子ジークフリートはオットー1世の名付け子でしたが、959年に父に先立って亡くなりました。ゲロ1世の死後、広大な辺境伯領は、マイセン辺境伯領など、いくつかの辺境伯領に分割されることとなりました。

子女

ユーディトとの間に二人の子をもうけました。

ゲロ（? - 959年以前）
ジークフリート（? - 959年） - ビルング家のヴィヒマン1世の娘ハトヴィヒ（ヘルマン・ビルングの姪）と結婚。

参考文献

成瀬 治 他 編 『世界歴史大系 ドイツ史 1』 山川出版社、1997年
瀬原義生 『ドイツ中世前期の歴史像』 文理閣、2012年
Reuter, Timothy. Germany in the Early Middle Ages 800-1056. New York: Longman, 1991.
Leyser, K.J. Medieval Germany and Its Neighbours 900-1250. The Hambledon Press, 1982.
Landi, Walter. "Die Stifterfamilie von Sonnenburg." Nearchos, Band 20 (2012), p.252-307
コルヴァイのヴィドゥキント、三佐川亮宏 訳 『ザクセン人の事績』 知泉書館、2017年

関連項目

* オストマルク (ザクセン)

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